市教委によると、教頭は昨年11月〜今年1月、職員室で教員がかばんに入れていた財布から、10数回にわたり現金を抜き取った。教頭は「校長との人間関係でストレスがあり、校長を困らせてやろうと思ってやった」と話しているという。
今年1月、現金が度々なくなっているのを不審に思った女性教諭が、かばんにビデオカメラを仕掛け、窃盗が発覚。校長の調査に、教頭が事実を認めた。
教頭は11年4月から同校に赴任。1年後の昨年4月に校長(59)が着任した。市教委の事情聴取に、「校長の仕事に対する考え方や求められるスピード感についていけず、折り合いが悪かった」と話している。
昨秋、市教委が実施した市立小の校長公募の選考で不合格になった教頭は「これで目標を失い、心が折れた。学校で盗難が頻発しているという風評を立てることで、腹の立つ校長に迷惑をかけてやろうと思った」と、子どもじみた言い訳をしているという。
教頭は「盗んだカネは保管し、一切手をつけていない」と主張。しかし、被害に遭った教員らの申告した額が教頭の保管額(23万5000円)より多く、「もっと取られたのでは」という声が上がったため、慰謝料の意味も込め、2倍の現金計47万円を4人の教員に、それぞれ返還することで示談が成立した。
校長と折り合いが悪かったり、校長公募に落ちたストレスの発散が盗難という手段で、しかも、それで校長を困らせてやろうとの発想は教育者のものではない。本来なら盗難は犯罪行為。とてもじゃないが、学校の教頭がやることではない。
(蔵元英二)