田中は15日(同16日)、マイナー選手を相手に試合形式の練習に登板し、5回無失点と好投し、2カ月半ぶりの登板が決定した。
開幕から順調に白星を重ね、12勝をマークしていた田中は、7月8日(同9日)のインディアンス戦に登板後、右ヒジの異常を訴えた。検査の結果、右ヒジじん帯の部分断裂で全治6週間と診断された。手術は回避し、治療とリハビリに務め、ようやく投げられる状態まで戻った。
しかし、ヤンキースの今のチーム状態で、田中を強行復帰させる必要があったのか? ヤンキースが属するア・リーグ東地区では、すでにオリオールズが独走で地区優勝を決めている。ワイルドカード争いでは6位(16日=同17日現在)で、プレーオフ進出は絶望的。この状況下では、田中を無理して投げさせずに、来季に懸けるという選択肢もあったはずだ。
ところが、そうもいかない事情もある。ヤンキースは田中と7年1億5500万ドル(現在のレートで約168億5470万円)というルーキーとしては破格の契約を結んでいる。1年平均約24億円の高年俸だ。
球団としては、高給取りには、それに見合う働きをしてもらわないと困るわけだ。今後の試合がたとえ“消化試合”になったとしても、田中には集客、グッズ販売に一役買ってもらう必要がある。そのためには、投げられる状態なら投げてもらうしかないのだ。
故障が悪化して、最悪の事態にならぬことを願うばかりだが…。
(落合一郎)