「笑われるかもしれないが、もう一回、(来場所10勝以上すれば大関に復帰できる)チャンスがあるので、挑戦してみます」(千代大海)
どうして引退ではなく、休場なのか。この裏に師匠の九重親方の強い指導があったのは明白。
それを裏付けるように九重親方も、「本人とも話し合い、わずかでも(復帰できる)可能性があるんだから、それに懸けてみることを確認した。来場所、ダメなら引退させる。それまでがんばらせてやりたい」とコメントしている。
しかし、この師弟の大関の権威をないがしろにし、晩節を汚すような行為に対する世間の批判は想像以上。
九重親方は去年の1月の役員選挙で、前任者の高砂親方がまな弟子のトラブル横綱・朝青龍に対する監督不行き届きの責任を問われて失脚したため、引退して17年目でようやく理事に初当選した。
現在の九重親方の状況は、この去年の高砂親方によく似ている。
時は流れて、再び役員選挙目前。貴乃花親方が出馬表明したため、調整がつかなくなって大混乱に陥っている二所ノ関一門が世間の耳目を集めているが、高砂一門も9日目の打ちだし後、福岡市内で一門会を開き、誰を理事候補にするか、協議した。
その結果、「せめて2期、4年はみないと、仕事の評価はできない」として、とりあえず九重親方続投の方針が決まったが、その座は決して安泰とは言えない。というのも、弟弟子にあたる八角親方(元横綱北勝海)も理事に強い色気をみせ、副理事候補になるのを拒否したからだ。
「八角親方は、すでに副理事(旧監事)を経験し、もう副理事はたくさん、次は理事に、と公言している。このため、副理事候補には中村親方(元関脇富士桜)に落ち着きそうで、九重親方にとってはいつ、寝首をかかれるか、わからない状況なんです」と高砂一門の関係者は話している。九重親方にとって、すこぶる危険な状況といえる。