それもそのはず、モータライゼーション幕開けの時代に機能主義をもって豪華列車主義に優先させる国家戦略を採り、それに国民がなんとなくイエスと言わされただけなのだから、アノ席は極めて粗末なものなのである。(あくまで主観であるが)
よって、「新幹線も嫌い。イベントで地方に行くのにも車しか乗らない」(10代女性談)、なんて人が多くなる。
そのJRの沽券を保っているのが、現代の優等列車たるグリーン車の存在。
例えば、首都圏JRの、普通列車グリーン自由席には、意外に女性ファンが多い。
「グリーン車両は騒音と振動が無くて明らかに疲れません。今半のすき焼き弁当を持ち込んで、成田空港までショッピングに行ったことがありますよ」(都内のOL)
という声もあるし、
「普通グリーンの大ファンで休日のデートに利用するのが楽しみです(笑)」
なんて声を揃える若いカップルもいた。
このグリーン料金は、どれだけ乗ってもたった950円(事前購入料金。休日はたったの750円)。
売り子さんから冷たいビールなども買えるので、積極的に利用してはどうだろうか。
特急のグリーンで有名なのに、JR九州の「有明」がある。
出張時、小倉〜博多まで乗ったが、半室構造の若干薄暗い車内にやわらかく九州の陽射しが差し、リッチな空間を演出。(笑)
定評どおりのグリーンの乗り心地は、なかなか筆や写真で伝えきれないがおススメ出来るものだった。
いっぽう、個室の用意されているJR特急列車は、やはり、というべきか完全消滅の危機さなかにある。
中で貴重な成田エクスプレスの個室は、料金が現在わずか6000円。ビジネス用途向けのようだが、この値段にもかかわらず閑古鳥が鳴いており新車両には個室がない…。
新幹線の個室のように消滅する前に旅の記念に個室に乗っておくのも一興かもしれない。
個室の雄は、私鉄にあり。
よくテレビでやっているが、東武特急スペーシアには、ひろびろとした個室が6室だけの車両が一両ついている。
この個室料金は、たった3,000円(休日でも3600円)。室内は、空調も照度調節も自在。なのにお一人様OKでもあるのだ。
同特急は車内ビュッフェで、ビール、地ビール、からあげ、チャーハン、サンドウイッチ…となんでも売っており、移動目的の旅も楽しいのではないか。
…そう、本来これくらいデラックスで“普通”なのではないか、と思うのだが。