総選挙前の6月、自公連立政権で過半数を獲得できるようにとの願いを込めて「決戦!! 太郎241 選挙限定バージョン」を発売した。しかし、願いはとどかなかった。麻生氏関連菓子は敗戦と同時に在庫が切れ、追加製造する予定はないという。
もっとも、自民党から民主党に乗り換え、売り出す菓子を「チェンジ」すればいいだけの話。
ところが大久保社長は「今まで自民党の総理で売らせてもらった。ここは、義理と人情とやせ我慢。民主党系のお菓子をつくることはない。自民党は多くの議席を失ったが、若い人が上にあがってくるにはいい時期なのでは」とあくまで自民党系菓子にこだわる。鳩山新首相をモチーフにした菓子で商売するつもりはないという。
ならば、麻生氏シリーズの次は何を売り出すのか? 「いまは全くの白紙」というが、そこは商売人。次期自民党総裁の行方に注目していた。
大久保社長は次期総裁について「石破さんがいい。自民党を愛する気持ちがある。前回の総裁選に立候補したとき、まず安倍、福田と短期間で政権を投げ出したことを謝罪した。今後の日本の方向性もしっかり考えている」とベタぼめ。石破氏への期待は高く、昨年12月にはあえて「希望戦士 ISHIDAM」の販売に踏み切っている。
「石破氏の地元、鳥取の特産品である二十世紀梨の果汁を使用している。もし石破氏が総裁になったらバージョンアップさせ、民主党を倒す『ISHIDAMの逆襲』をつくりたい」とリベンジを誓った。
しかし、問題は菓子だけにとどまらない。東京・秋葉原の中央通り沿いにある雑居ビルに掲げた「ちょい悪おやじ オレ達の太郎」の巨大看板をどうするのか。ビルには同社の直売店舗が入り、ちょっとしたアキバ名所になっている。今でも、この看板の前で写メールを撮る人がいるほどだ。
「あの看板をどうするかは未定。選挙に負けたからって急にはずしてしまうのも…。人の看板は難しいね。夜中にこっそりはずしちゃおうか(笑)」。頭の痛いことだらけで、寝込んでしまったのもよく分かる。
麻生氏へのメッセージを求めると、「私は麻生びいきだからね」と前置きして、「よくやったと思う。結果は自民党の大敗になったが、経済対策はしっかりやってくれた」と最大限評価した。
この大久保社長の熱い思いを受け止めるだけの体力が、果たして今の自民党に残っているだろうか。在庫を山ほど抱えていなかったのが不幸中の幸いだった!?