地獄にも正月休みがある 藪入りと六道珍皇寺

ミステリー 2019年01月12日 23時00分

地獄にも正月休みがある 藪入りと六道珍皇寺画像はイメージです

 地獄。人が亡くなった後、生前に犯した罪が重いものが落ちるとされている世界だ。小さい頃に「嘘をつくと地獄で閻魔(えんま)様に舌を抜かれるよ」と叱られたことがある人も多いだろう。

 年明けに地獄を取り上げるのも不思議に思うかもしれないが、実は正月は、地獄と縁の深い月である。1月16、17日は「藪入り」といい江戸時代、田舎から商家に出稼ぎに来ている奉公人が休みをもらい、郷里に帰省するという習慣があった。この藪入りの期間は地獄も休業状態になるという。閻魔様も地獄の亡者たちを裁き、責め、苦を与えることがなくなると言われていたため、閻魔様を祭っている寺社仏閣では藪入りに合わせて行事や縁日を開くこともあった。

 地獄の概念は仏教とともに日本に伝来したもの。古代インドの民間信仰にあった死後の世界に対する概念が中国の道教と結びついた。そして日本では仏教における因果応報の考えも手伝って、人々に広く信じられていくようになった。

 地獄の有名人といえば閻魔様だが、閻魔様は地獄で裁判に携わる10人の王「十王」のうちの一人である。人は亡くなって初七日を迎えると、十王の中からまず、秦広王に裁かれる。この後に三途の川を渡り、以降7日ごと、四十九日を迎えるまでに十王達の裁判を受け、最終的に六道のうちのどこに転生するか決まるのだ。

 地獄で主に亡者たちに責め苦を与える極卒鬼たちであるが、彼らは特おり現世に現れることもあるとされる。平安時代の書物には現世で獄卒と遭遇した話が多数残されており、中には「実在する人物が生きていた時から地獄で働いていた」という話も残っている。

 小野妹子の子孫であり、小野小町の親戚に当たる小野篁がそうだ。彼は現世でも嵯峨天皇に仕える高官であったが、夜は井戸を通って地獄に下り、閻魔様の補佐官として仕事をしていたとされている。小野篁が地獄へ行くために使った井戸は、京都の六道珍皇寺に現存している。興味のある人は参拝に行ってみてはいかがだろうか。

(山口敏太郎)

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