東京・原宿の本社事務所を訪ねると、やたらオシャレな佇まい。しかも、いきなりロリ系の女優さんが出てきたぞ!と思ったその人が早坂社長だった。なるほど噂にたがわぬ美女だ。
「またまた(笑)。童顔なのは認めますけども。AV女優としてデビューする前は大人っぽいと思っていたんですよ。それが現場で制服や体操服ばかり着させられて、すごくイヤだったんですけど“ロリなんだな”と納得しましたね」
2001年に単体女優でAVデビュー。瞬く間に人気に火が付いた。周囲の環境に恵まれ、業界入り前に抱いていた偏見は薄れていった。撮影の合間に「女優が無理になってもこの業界に携わっていきたい」と考えるようになったという。
06年夏に引退。AV女優を預かるプロダクションを設立したのはその年の暮れのこと。数カ月後のスピード転身だった。
周囲には「普通に他の仕事をしたほうがいいんじゃない?」と諭された。経営に参画するはずだった元AV女優・小沢菜穂さんも結婚で退いたが、決断は揺るがなかった。実際に社長になってみてどうだったのか。
「たーいへん。立ち上げは苦労しましたね。女の子を集める準備期間から毎日が勉強でした。AVやるコが多くなってレベルが上がり、すぐ単体デビューが決まることなんてない。入れ替わりは激しいし、年間契約取れるコはほんの一部。自分が現役時代に当たり前だったことがそうじゃなくなり、売れるってことはこんなに大変なんだと実感しました」
女優として使われる側から使う側へ。扱いが難しいとされる現代っ子を相手に、眠れない夜を過ごすことも一度や二度ではなかった。立場が180度変わったことが、強みであり弱点という。
「性格的に“社長、社長する”のがツラいんですよ。女優には厳しくしなきゃいけないときもあるし、商品として見る必要もある。でも、悩みや辛さが分かるので、ついつい“よしよし”をしちゃうんです。一緒にお茶したり買い物したり、恋愛相談を持ちかける社長なんていないんじゃないですか(笑)」
単体、企画モノを含めてプロデュースした女優は約20人。六本木や原宿の路上で社長自らスカウトすることもある。
「AV女優をやっていたからなのかもしれませんが、無理には勧めない。そんなに甘い世界じゃないから。いくら売れたとしても、無愛想で挨拶ができないコは仕事が減りますからね。結局はプロ意識と本人の頑張りなんです。絶対に外見だけじゃない。自分もそうだった」
所属女優にプロ意識を伝達するお手本として、自分と年齢が近い02年AVデビューの蒼井そらさんや松島かえでさんらのエピソードを話すことがある。現役女優でなければ説得力がないからだ。女優とは頻繁にメールをやり取り。撮影に臨む心構えや生理中の絡み方、ときには「わざと後ろ向きにパンスト脱いだほうがエロいよ」などとアドバイスも送る。
そんな異色の女性社長からみた今後のAV業界のあるべき姿とは。
「たいそうなことは言えませんけど、エロは絶対なくならない。今はついて行くのが大変なほど新陳代謝が激しく、女優はよりハードなことを求められ、作品もグロテスクになっている。でも、そこまでの過激さは本当に必要かな? とは思う」
業界を見つめる目はアツい。しかし仕事に熱中するあまりプライベートが疎かになっていないか心配になってきた。
「結婚したいんですよ。でも、できない。彼氏はいるんですけど結婚は見えないなあ、うん。なんでだ? 守ってあげたいタイプじゃないのは分かっているんですけど…」とロリ系の瞳がうるうる。
いや、十分守ってあげたいタイプだと思いますよ!
<プロフィール>
はやさか・ひとみ 身長156センチ、83(C)・59・85。初体験は15歳。18歳のときに新宿でスカウトされAVデビュー。06年7月に引退し、同年11月に「RIZE Cubic(ライズ・キュービック)」を設立。昨年、キャストが全員AV嬢の六本木キャバクラ「Club@virgin」(港区六本木3-9-5ゼックスバウム3F)をオープンした。同店では13日午後9時〜小沢菜穂さんをゲストにオリジナルグッズ抽選会などを盛り込んだスペシャルイベントを開催。