社会
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社会 2013年04月29日 11時00分
1基5000億円 福島事故後初 原発輸出で先陣を争う三菱重工、日立、東芝 あきれた商魂(2)
原発事業売上高1兆円の大構想を掲げた東芝は3月末、米国子会社ウェスチングハウスがチェコの原発増設計画の入札で最上位の評価を受けた、と発表した。東芝が受注を目指すのは、チェコ電力が計画しているテメリン原発3、4号機の増設で、最後まで争ってきたロシア企業を大きくリードしたことから、「嬉々として発表した」と情報筋は打ち明ける。 「これで優先交渉権を獲得した後、首尾よく商談成立にこぎ着ければ、日本のメーカーとしては福島での事故後で初めての輸出になる。しかもフィンランドでは既に原発の優先交渉権を確保しており、このどちらかが三菱重工に先んじれば『福島事故後初めて』の勲章がつかめる。お互いがライバルだから先陣争いはハンパじゃありません」 東芝は'06年2月、6200億円の大枚を投じて原子力プラント大手のウェスチングハウスを買収した。しかし、この買収で大本命と目されたのは、同社と古くから取引があった三菱重工だった。当時、原発ビジネスを成長戦略の要に据えた東芝は「相場の2倍を投じることで三菱重工を蹴落とした」(情報筋)のである。その東芝がトルコでは東電とタッグを組んだことから惨敗し、三菱重工がニンマリしたのだから「因果は巡る」とは、よくぞ言ったものである。 日立も負けていない。昨年6月にはリトアニアでの原発受注をほぼ確実にし、その余勢を駆って、脱原発に舵を切ったドイツの電力会社から英国の原発事業会社ホライズンを850億円で買収。海外での原発ビジネスに前のめりだ。 一時はリトアニアの国民投票で建設反対派が多数を占めたことから、建設そのものの雲行きが怪しくなったが、ここへ来てその投票に対しては、反対派が仕掛けた巧妙な情報操作が指摘され始めている。 「日立がホライズンを買収したのはリトアニアでの商談成立をにらんでのこと。これにはグリバウスカイテ大統領が、早い段階でGOサインのお墨付きを与えていたとの情報さえ飛び交っている。従って仕組まれた国民投票が覆り、原発推進に突き進む可能性がある。そうなれば東芝、三菱重工を尻目に日立が原発輸出で先陣を切る公算が強まります」(業界関係者) 各社がいまだに原発ビジネスに血眼になる大義は「技術の伝承、不慮の事故への対応」だ。しかし「目の前に金儲けのチャンスがゴロゴロしているから」と言った方が、はるかに分かりやすいのである。
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社会 2013年04月28日 11時00分
1基5000億円 福島事故後初 原発輸出で先陣を争う三菱重工、日立、東芝 あきれた商魂(1)
安倍普三首相が5月の連休中に、中東歴訪の一環としてトルコ訪問を予定している。トルコといえば、イスタンブールは2020年夏季オリンピック招致の最大のライバル。いわば“敵地”への殴り込みだ。 むろん、首相訪問は五輪招致の綱引きとは関係がなく、トルコのエルドアン首相と「安保問題など、広範に意見交換するため」(政府筋)とされる。実はその際、東電の福島事故後初めてとなる日本からの原発輸出を巡って「政府間合意を結ぶ段取りになっている」と関係者は打ち明ける。 経済成長が著しいトルコは電力需要が急増している反面、まだ原発がない。そこで2023年までに3カ所の原発建設を計画し、既にロシア企業が最初の受注を決めている。同国2カ所目となる黒海沿岸のシノプでの原発計画では、日本、韓国、中国、カナダの4カ国が壮絶な受注競争を展開した結果、三菱重工業と仏アレバ社連合に決定することが確実となった。その総仕上げとして「両国政府が原発建設の合意書に署名するのを待って、トルコ政府が三菱・アレバ連合に優先交渉権を正式に与える」(同)というのだ。 建設する原発は4基。1基の建設費は約5000億円に達し、総事業費2兆円に及ぶビッグプロジェクトだ。'17年に着工し、'23年の稼動を目指している。 「当初は東芝・東電連合が大本命と見られたのですが、福島原発事故で様相は一変した。原発の保守・運営を担うはずだった東電は身動きが取れなくなり、トルコ側の意向で計画は一度白紙になった。この隙に乗じて韓国や中国企業が巻き返しを図ったのですが、最終的に三菱・アレバの技術力がライバルを上回った。トルコが伝統的に日本と親密なことも影響しているようです」(経済記者) 安倍首相の“表敬訪問”もうなずけるわけだが、より深い理由も指摘されている。 東電の福島原発事故後、民主党政権は「収束宣言」を出したにもかかわらず、原発輸出には消極的だった。一方、原発再稼動に道筋を付けたい安倍首相といえども、国民の根強い原発アレルギーの前に新たな原発建設までは踏み込めない。ところが新興国では、電力需要の急増を背景に原発建設計画が目白押しだ。こんな現実を知れば知るほど、根は原発推進派の安倍首相が原発輸出に活路を求めないわけがない。 原発メーカーに至っては、さらに切実だ。繰り返せば原発建設は、複数の企業と連合軍を組むにせよ、1基5000億円の現ナマが転がり込む“金のなる木”である。国内で新規建設が期待できなければ、海外に打って出るのが手っ取り早い。まして原発は「1基つくればメンテナンスだけで十分食っていける」と囁かれるほど“商売”としてはオイシイのが実情だ。 だからこそ東芝は年間1兆円、三菱重工は6000億円、日立にしても3600億円の原発ビジネス構想をぶち上げている。福島の大惨事は今なお深刻な汚染水漏れ事故をもたらすなど収束には程遠く、まだまだ復興への道は険しいが、それを尻目にソロバン勘定に長けた原発メーカーは、存分に商魂を発揮しているのである。
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社会 2013年04月27日 17時59分
大阪の小学校ホモ教諭が男児の裸の動画を販売
大阪府警少年課は4月18日、小学生男児のポルノDVDを販売したとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(提供)容疑で、同府大阪市立小学校の教諭・花園良太容疑者(31=同市天王寺区上汐)を逮捕した。花園容疑者は同性愛の趣向があることを認めており、「小さい男の子のポルノ動画は客に好評だった」などと供述している。 逮捕容疑は、2月3日頃、インターネットの掲示板を介して知り合った東京都の男性会社員に、小学生男児のポルノDVDを郵送し、販売したとしている。代金として、1万1500円を受け取ったとされる。 花園容疑者は06年からネット上で同性愛のDVDを売り始め、10年以降は男児が映ったDVDも販売するようになった。これまでに延べ約400人に販売し、計約200万円を売り上げたという。代金の振込口座は実名で開設していた。 自宅からは、ポルノDVD約450枚が押収されており、府警は動画の入手ルートを捜査している。 大阪市教育委員会によると、花園容疑者は05年4月から、講師として現在の小学校で勤務を始め、10年から教諭となった。3年生のクラス担任で、勤務態度はマジメで、保護者や児童からの信頼も厚かったため、周囲は驚いているという。学校で男児が裸にされ撮影されたなどという被害相談は出ていない。 市教委は「事実関係を確認の上、厳正に対処したい」としている。 花園容疑者の行為は明らかに、趣味の範囲を超えたもの。教師としての自覚が足りなかったというしかない。(蔵元英二)
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社会 2013年04月27日 16時00分
ボストンテロでFBIが映画『相棒』関係者を調査?
水谷豊主演の映画『相棒-劇場版-絶体絶命! 42.195km 東京ビッグシティマラソン』がビデオレンタルで高回転している。 先日起きたボストンマラソンテロに設定が似ているからだ。 映画は08年5月に劇場公開され大ヒット。上半期での映画興行ランキングでも1位に輝き、来場者数は350万人を突破した。最終興行収入44.4億円は、東映としては05年に公開した『男たちの大和/YAMATO』以来の大当たりとなった。 物語だが、人気ニュースキャスターの死体が電波塔に吊るされる事件が発生、現場には「f6」という謎の記号が残されていた。その頃主人公の刑事・杉下右京は左翼過激派「赤いカナリア」から手紙爆弾を送りつけられた衆議院議員・片山雛子を警護中。片山雛子の乗る車が突如襲撃を受け、右京らは阻止するが、そこにもニュースキャスター殺人事件同様に謎の記号が残されていた。 右京は一連の事件が、インターネット上のSNSサイト内で行われる擬似裁判で死刑判決を受けた著名人を狙った連続殺人事件であることを突きとめる。現場に残された記号の意味を知った右京は、犯人が東京ビッグシティマラソン(モデルは東京マラソン)をターゲットにしていることをつかむ…。 「マラソンを狙ったテロはこれまでありませんでした。FBI当局は、チェチェン出身の兄弟の犯人が映画を見ていたかどうかに関心を寄せているようです」(全国紙担当者) テレ朝、東映にも問い合わせがきているようだ。 「FBIが関心を寄せているのは、テレ朝、東映の企画・製作チームにどういうメンバーがいたのかという点。彼らはマラソンテロについて細かいデータを持っている。可能性はかなり低いが、もし犯人とメンバーが接触していたら、テロ計画の流れがみえてきます」(マスコミ関係者) 水谷豊も映画版が話題になるのはいいが、なり過ぎも困ると心情は複雑のようだ。
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社会 2013年04月27日 15時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 当たり前のことが起きた
4月4日、黒田東彦日銀新総裁が初めての金融政策決定会合で「異次元の金融緩和」を決定した。今後2年間で長期国債の保有額を2倍に拡大し、資金供給も2倍に増やすとしたのだ。 これまで多くのエコノミストがこうした大胆な金融緩和に反対してきた。しかし、今回の黒田金融緩和は、彼らの主張を根底から覆してしまった。 エコノミストたちの反対理由は主に五つあった。第一は、金融緩和には何の効果もないというものだ。それは明確に否定された。野田前総理が解散総選挙を決めた昨年11月の日経平均株価は8600円台だった。それが、黒田緩和の直後に1万3200円台をつけた。5カ月で5割も株価が上がったのだ。これで効果がないとは言えないだろう。 第二は、大胆な金融緩和などしたら、ハイパーインフレになってしまうという主張だ。3月の東京都区部消費者物価は前月比で0.4%の上昇だが、前年同月比は0.5%の下落と、ハイパーインフレの懸念などまったく出ていない。 第三は、円の信任が揺らいで、為替が暴落するということだった。確かに対ドルレートは円安が進んで1ドル=99円台に突入した。だが、リーマンショック前が110円だったことを思えば、元に戻る動きで暴落しているとは言い難い。 第四は、長期国債を日銀が大量に買ったら、国債の信任が失われ、大暴落するというものだ。現実には、黒田緩和が発表されると、長期国債金利は0.3%台へと下落し、国債価格が史上最高値を記録した。暴落の気配すらなかったのだ。 第五は、いくら金融緩和をしても、銀行に流れた資金は日銀の当座預金に滞留し、貸し出しには向かわないから、実体経済にプラスの影響はないというものだ。金融緩和から貸し出し増に向かうまでにはタイムラグがあるから、すぐに貸し出しは増えない。しかし、全国銀行協会の統計をみると、昨年までほとんど増加がみられなかった銀行の貸し出しが、今年に入って確実に増え始めている。実体経済もよくなってきているのだ。 実は、こうなることは目に見えていた。資金供給を2倍にするという日銀の決断は、けっして異常なものではなく、世界からみればごく普通のことだからだ。リーマンショック以降、イギリスは5倍、アメリカは3倍、ユーロ圏は2倍に資金供給を増やしてきた。その中で日本だけが資金供給を増やさなかったから、希少な円が値上がりし、円高不況が訪れた。円を増やして通貨供給量のバランスを取り始めたら、為替が元に戻り始めたというのが今回の変化なのだ。 それなのに、これまで多くのエコノミストたちが経済理論に反する主張をしてきた。それが根本から間違っていたことがわかったにもかかわらず、誰もその過ちについて反省も謝罪もしていない。 それは日銀の審議委員たちも同じだ。これまで白川前総裁の下で、金融引き締め政策を推進してきたのに、4月4日の資金供給倍増戦略は全員一致で可決されている。トップが変わったら全員がなびいてしまう。理論もなければ信念もない。 民主党の最大の失敗は、白川前総裁も含めて、こうした審議委員を選んだということだろう。いずれにせよ日本の金融政策は、ようやく普通に戻ったのだ。
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社会 2013年04月27日 11時00分
地下ストレスの限界か 兵庫・淡路島震度6弱で「巨大直下型地震」続発秒読み
4月13日午前5時33分ごろ、兵庫県淡路島を震源とするM6.3、震度6弱を観測する強い地震が発生。5府県で23人が重軽傷を負い、1200戸を超える家屋が損壊した。 気象庁は緊急会見を開き、地震のメカニズムについて「東西方向の地殻圧縮による逆断層型」と解説し、「今後、最大でM5.0前後、震度5弱程度の強い揺れも考えられる。余震活動には十分注意してほしい」と警戒を呼びかけたが、専門家たちは、それ以上の危機感を募らせているのだ。 「震源は'95年に阪神淡路大震災を起こした『六甲・淡路断層帯』の南端周辺にあたるとされていますが、淡路島中央部には今回の地震を起こした断層と向きが同じ活断層はあるものの、余震分布から判断してそこが動いたとは考えられない。動いたのは“未知の断層”ともいえるのです」(サイエンスライター) また、今回の地震に関して琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏は、こんな指摘をする。 「神戸周辺は、東北地方の日本海から能登半島を経て瀬戸内海、九州、沖縄、さらに台湾へと延びる『日本列島断層』の一部にあります。その関連の中で、巨大地震が起きた10年以上後に余震が起こることもあるため、阪神淡路大震災の余震と思われます」 つまり、今回の揺れは日本列島全体の断層との関連性もあるわけだ。 「太平洋プレートに押され、内陸部のストレスが限界に達している可能性も考えられます。問題は、先日の地震がそのストレスが溜まっている活断層を刺激する可能性ですよ。専門家の中では、もしリスクが高まっている活断層であれば、少しの動きが引き金になるとする向きもあるため心配です」(前出・サイエンスライター) もし“引き金”となった場合、危険な場所はどこなのか。 「隆起が観測されている東京の立川断層も危ないが、近辺であることを考えれば大阪を縦断する上町断層帯が危ない。もしここが動いて直下型地震が発生すれば、震度7の激震を観測し、4万人以上が犠牲になるという被害想定もあるほどなのです」(同) 怖いのは「南海トラフ巨大地震」だけではない事を思い知らされた。
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社会 2013年04月27日 11時00分
「格安年間パス」がアダ 乱痴気神戸大学生が“出禁”になった大阪USJのジレンマ
先ごろ、神戸大学の男子学生がテーマパーク『ユニバーサル・スタジオ・ジャパン』(以下USJ=大阪市)で迷惑行為を繰り返した件で、学生たちは入園禁止処置に続き大学からも処分された。 「彼らは人気アトラクションの『ジュラシック・パーク』に半裸で乗り込み、安全バーを押し上げて立ち入り禁止ゾーンに飛び移ったり、『ウォータースライダー』ではボートを転覆させ運行をストップさせるなどやりたい放題だった。一般客から苦情が殺到してUSJが調査に乗り出し、今回の処分となったのです」(社会部記者) しかし、意外なことに、これに反発する声も聞こえてくる。 「若いんだからバカはやるでしょう。何か起こったら自己責任。それがわかっていればいいんじゃないですか? あれぐらいの悪ふざけは他の入場者もやっている。彼らだけ悪者にされるのは気の毒だ」(常連客) それにしても、神戸大学生の騒動直後、別の大学の女子学生も、禁止されている飲食物の持ち込みがツイッターにより発覚し、大学から処分を受ける始末。 こうした迷惑行為の増加には、USJの「年間パスポート」が影響しているとの見方もあるのだ。 「USJのチケットはTDL(東京ディズニーランド)とほぼ同額の6600円。しかし、年間パスポートになるとTDLが5万2000円なのに対し、USJはその半額以下の1万5800円。そのためUSJの入場者は、年間パスポート利用によるリピーターが圧倒的に多い。3回行けば元が取れる価格設定なので、マナーの悪い客の遊び場になるのはある意味必然ですよ」(観光雑誌ライター) 地元紙記者は説明する。 「低価格年間パスポートは、入場者の伸び悩みに苦慮した頃に設定され、その後の入場者増に大いに貢献しています。しかし、今回のような迷惑客を生み出したのも事実で、今年は年間パスポートの値上げも噂されています」 客にとっては値上げが最も迷惑な話だ。
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社会 2013年04月26日 15時41分
原発再稼働“待ったナシ”の東電
経済産業省が公表した試算が、参院選後にゾロゾロと原発を再稼動させるための世論操作なのではないかと憶測を呼んでいる。国内の原発が全て停止しても、減価償却費や固定資産税などに総額約1兆2000億円のコストが掛かり、この分は電気料金の原価に含まれると強調しているのだ。 そんな中、注目されるのが東電・柏崎刈羽原発。4月からの再稼動を見込んでいたが、原発の安全性を判断する原子力規制委員会の新安全基準がまとまるのは7月以降となるため、時期は大幅に遅れそう。まして同原発は福島第一と同じ炉型とあって、審査がスンナリ通る保証はないが、東電の“お家事情”は待ったナシの状況だ。 「昨年5月に政府認定を受けた総合計画では『2014年3月期の黒字化』が国と銀行団から支援を得るための公約でした。ところが、その公約達成は柏崎刈羽を4月から再稼動させることが前提で、もしまた大幅赤字に塗れれば、銀行から追加支援が得られないばかりか、格付け会社から投資不適格の“レッドカード”が出されます」(業界関係者) 監督官庁の経産省も、東電のそんな非常事態は先刻承知している。何せ東電には既に約3兆3000億円もの資金が投入されており、経営破綻すれば支援カードを切った政府の責任が厳しく問われてくる。東電ともども、手段をウンヌンしている場合ではないのだろう。 「経産省試算のミソは、要するに柏崎刈羽を早急に再稼動しなければユーザー負担が重くなると警告し、他の原発の再稼動にも道筋をつけようとの作戦なのです」(同) 国民に見透かされるのを承知の上で妙手に打って出た格好だが、コストだの何だのではなく、あくまでも“安全第一”ということを忘れてもらっては困る。
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社会 2013年04月26日 11時40分
三橋貴明の「マスコミに騙されるな!」 第24回 株価と所得
4月4日に、黒田新総裁率いる日本銀行が、日本では昭和恐慌(大恐慌)時の高橋是清以来となる「デフレ期の正しい金融政策」を打ち出す決断を下し、株価が大幅に上昇した。本稿執筆時点の日経平均株価は、何と1万3000円を上回っている。野田前総理大臣が解散総選挙を宣言して以降、日経平均は実に1.5倍以上に上昇したわけだ。 黒田日銀は、4月4日に公表した報告書により、マネタリーベースを今後の2年間で約2倍に拡大することを明らかにした。3月末時点のマネタリーベースは約134.7兆円である。すなわち、今後の2年間は毎年70兆円前後の「新たな日本円」が金融市場に供給されることになるわけだ(2年後に約270兆円にする模様)。 さらに、日銀の国債買取(=通貨発行)に際し、通常の買い入れ枠と金融緩和向けの資産買い入れ基金の2方式を一本化することになった。結果、以前から問題視されていた「日銀券ルール」(長期国債の買い入れにおいて、長期国債保有額を日本銀行券発行残高以内に抑える)が事実上、撤廃となったのである。 ちなみに、基金方式の国債買取を日銀が導入したのは2010年である。白川前日銀総裁時代なのだ。恐らく、民主党から金融緩和要望を受けたものの、それでも日銀券ルールを守りたかった日銀は、金融緩和向けの国債買取を「別枠」とすることで、ルールの対象外にしたのではないだろうか。 通常の買い入れ枠と基金の双方を合わせると、日銀は昨年末で89兆円の長期国債を抱えている。日銀が発行している日本銀行券(要は現金)は87兆円であるため、すでにして日銀券ルールなど守られていなかったのだ。 そもそも経済政策的に、あるいは会計的に意味不明な日銀券ルールという「呪縛」が外されたことは、相当に影響が大きい。もっとも、厳密には日銀は日銀券ルールの「一時適用停止」方針を決めただけであるわけだが、有名無実化するなら構わないだろう。 大々的な金融緩和を始める時期については、以前の政府との共同文書では「2014年から」となっていたが、今回の政策決定会合で「4月5日から」となった。来年ではなく、金融政策決定会合の翌日から始まったのだ。 さて、アベノミクスの「第一の矢」である金融政策は、まさに当初の公約通り「大胆に」始まったわけだが、少なくとも株式市場はこれを「是」とし、実際に株価が上昇した。これを受け、日本国内で、 「株価が上昇するだけで、国民の所得が増えたわけではないではないか。結局、アベノミクスはおカネ持ちに得をさせるだけの政策だ」 あるいは、 「金融政策でインフレ率を上昇させるといっても、物価が上がるだけで庶民の暮らしは良くならないではないか」 といったアベノミクス批判の声が高まってくるだろう(すでに始まっているが)。これらの批判は、資産(ストック)と所得(フロー)を混同した、極めて悪質なものである。 まず、株価がどれだけ上昇しても、国民の所得は増えないことは確かだ(証券会社の手数料収入は除く)。株価上昇とは、株式という金融資産におカネが集まり、ストック(資産)の価値が上昇しているに過ぎない。 とはいえ、そもそもアベノミクスは株価上昇(あるいは円安)を目的としていない。もちろん、結果的に株価上昇や円安が進行するだろうが、目的はインフレ率の上昇と雇用環境の改善、そして国民の所得の増加なのだ。株価上昇や円安は政策の「過程」を示しているに過ぎない。 それでは、本来の目的である国民の所得改善を達成するためには、どうしたらいいだろうか。現在の日本はデフレが深刻化しており、国民は所得縮小に苦しんでいる。国民の所得を増やすには、どうしたらいいか。それは「所得生成のプロセス」を考えれば、誰にでも理解できる。 所得とは、国民が働き、モノやサービスを生産し、誰かが消費や投資として購入するという一連の「所得生成のプロセス」が完成しないと生まれない。この所得生成のプロセスのことを、「実体経済」と呼ぶ。実体経済において物価が上昇(モノやサービス価格上昇)するとは、国民の労働の「価値」が高まることでもあるのだ。 おわかりだろうが、株式とは「モノ」でも「サービス」でもない。株価が上昇しても、国民の所得水準が改善するわけではない。 なにしろ、株式市場に投じられたおカネは、モノ、サービスの購入ではないのだ。すなわち、国民の労働で生み出された財産ではない。 日銀の通貨発行は、主に国内の銀行に対して行われる。日銀が発行したおカネが、そのまま銀行で凍りつき、モノやサービスの購入に回らなければ、物価は上昇せず、国民の所得改善もない。 すなわち、日銀が発行したおカネを「誰か」が借り入れ、所得になるように使ってくれなければならないのだ。 通常の国において、銀行のおカネを借り入れ、主に投資として使う「経済の主役」は企業だ。ところが、デフレの国では企業の投資効率が下がり、銀行融資や投資が増えない。というよりも、企業が借り入れを増やさず、投資を拡大しようとしないからこそデフレが継続するのだ。 デフレから脱却し、国民の所得を増やすためには、中央銀行が通貨を発行する(=国債を買い取る)と同時に、政府が財政出動として「国民の所得になるように」使わなければならないのである。ゆえに、アベノミクスの第二の矢は「機動的な財政出動」となっているわけだ。 不思議なのは、「金融緩和をしても株価上昇で金持ちが潤うだけ」と批判するマスコミが、決して「だからこそ、政府は財政出動を急げ!」とは言わないことだ。 日銀が発行したおカネを政府が設備投資減税、東北復興や国土強靭化を目的とする公共投資として支出すれば、確実に「誰か」の所得が生成される。誰かの所得が増えれば、その人(あるいは企業)は消費や投資を増やし、別の誰かの所得が増える。 アベノミクスは、日銀が発行したおカネを、財政出動で実体経済に向かわせることについても踏み込んでいる。それにもかかわらず、財政出動という第二の矢について沈黙する以上、マスコミは単に安倍政権を批判し、アベノミクスを否定したいだけとしか思えないわけだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2013年04月26日 11時30分
北朝鮮核戦争の最終シナリオ 暗殺に怯える三代目・金正恩は半狂乱「地下壕生活」(2)
もっとも、気になるのは金正恩第一書記を震え上がらせたこの「暗殺情報」が、どれほど確度の高いものなのかという点だろう。 韓国の大統領府関係者がこう語る。 「CIAが金正恩の暗殺計画を極秘に進めているのは、事実です。ただ、現時点(4月14日)では弾道ミサイルが発射され、グアムやハワイ、西海岸を少しでも狙った場合に、最終判断が下されると言われている。仮に公海上にミサイルが着弾しなかった場合は、暗殺計画に先駆けて北朝鮮への空爆を開始する予定なのです」 この関係者によれば、弾道ミサイルが日米韓いずれかの領海、もしくは領土に着弾した場合には、米韓が北朝鮮に最終勧告を行い、空爆計画に移るという。その際には在韓米軍基地や空母からF22戦闘機、ステルス型爆撃機が飛び立ち、北朝鮮の元山にある秘密基地や寧辺の核施設、舞水端里のミサイル基地などを破壊し尽くすというのである。 さらに、暗殺計画にゴーサインが出た場合には、輸送機などから次々に米兵や韓国兵が北朝鮮領内に降下し、敵兵を殲滅。同時に同国内に潜入していた諜報員が秘密基地や地下シェルター内を捜索し、金正恩第一書記の抹殺が行動に移されることになるのだ。 「その際、日本の自衛隊は日本海にイージス艦を配備。習志野や朝霞駐屯地、防衛省に配備した地対空誘導弾パトリオット(PAC3)などで、迎撃態勢を整えるとともに、米韓の給油や在日米軍基地などの後方支援にあたることになるのです」(前出・防衛省関係者) ただ、やっかいなのは北朝鮮側が「空爆」と「暗殺計画」をすでに察知しているという点にある。そのため、この“報復戦”の際には、恐ろしいシナリオも想定されているのだ。前出の軍事ジャーナリストが言う。 「北朝鮮は、過去2度にわたるプルトニウム型核実験を行い、核爆弾をミサイル搭載できるほど小型化させたと見られている。そこで、米韓による空爆や局地戦が行われた際には、破れかぶれで核ミサイルを撃ち込んでくる可能性が高いのです。米軍はスパイ衛星でこれを補足。発射前に先制攻撃を仕掛けて殲滅すると豪語しているが、これが失敗すれば、日米韓のいずれかに核ミサイルが撃ち込まれることになる。距離的にも日韓が危険に晒される可能性が最も高いのです」 ちなみに、北朝鮮『労働新聞』(4月10日付)は、論説記事で「日本が米国と足並みを揃えれば、1940年代の核の惨禍とは比べ物にならない災難を被る」と恐ろしい指摘をしたが、これが現実のものとならない保証はどこにもない。
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