そんな中、注目されるのが東電・柏崎刈羽原発。4月からの再稼動を見込んでいたが、原発の安全性を判断する原子力規制委員会の新安全基準がまとまるのは7月以降となるため、時期は大幅に遅れそう。まして同原発は福島第一と同じ炉型とあって、審査がスンナリ通る保証はないが、東電の“お家事情”は待ったナシの状況だ。
「昨年5月に政府認定を受けた総合計画では『2014年3月期の黒字化』が国と銀行団から支援を得るための公約でした。ところが、その公約達成は柏崎刈羽を4月から再稼動させることが前提で、もしまた大幅赤字に塗れれば、銀行から追加支援が得られないばかりか、格付け会社から投資不適格の“レッドカード”が出されます」(業界関係者)
監督官庁の経産省も、東電のそんな非常事態は先刻承知している。何せ東電には既に約3兆3000億円もの資金が投入されており、経営破綻すれば支援カードを切った政府の責任が厳しく問われてくる。東電ともども、手段をウンヌンしている場合ではないのだろう。
「経産省試算のミソは、要するに柏崎刈羽を早急に再稼動しなければユーザー負担が重くなると警告し、他の原発の再稼動にも道筋をつけようとの作戦なのです」(同)
国民に見透かされるのを承知の上で妙手に打って出た格好だが、コストだの何だのではなく、あくまでも“安全第一”ということを忘れてもらっては困る。