社会
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社会 2013年05月09日 15時30分
巨乳タレント谷桃子がバナナマンのマネージャー名乗る男にだまされた! 犯人は現役親方の息子
グラビアアイドルなどとして活躍する巨乳タレント・谷桃子(28)が、人気お笑いコンビ、バナナマンのマネージャーを名乗る男にだまされて、現金などが入ったバッグを奪われる被害に遭っていたことが分かった。 谷をだましたのは、無職・庄司大輔容疑者(31=千葉県船橋市)で、5月8日に警視庁渋谷署に、窃盗の疑いで逮捕された。庄司容疑者は大相撲の現役親方である不知火(しらぬい)親方(64=元関脇・青葉城)の長男。 逮捕容疑は、3月4日午後8時50分頃、東京・有楽町の百貨店で買い物中に、バナナマンのマネージャーを語って谷に近づき、試着の際に預かった貴重品が入ったバッグを盗んだ疑い。 庄司容疑者は同日午後8時頃、有楽町マルイ前の路上で谷に接触。「お世話になってます。マルイに買い物ですか。ボクも用があるんですよ」などと話し掛けた。バナナマンと共演したことがある谷は、無視するわけにもいかなかったという。 庄司容疑者は図々しくも、谷の買い物に同行。谷がマルイ2階の店で服を選び、試着室で貴重品を足元に置いて試着しようとすると、「危ないですから持っています」と持ちかけた。谷は庄司容疑者を信用し、現金6万円入りの財布とバッグを手渡した。試着を終えると、庄司容疑者はすでに逃走していた。同署によれば、被害総額は貴金属などを含め約10万円。 庄司容疑者は3月に別の窃盗事件で同署に逮捕されたが、自宅を捜索した際、谷名義のテレビ局の入館証などが見つかり捜査していた。 庄司容疑者は大手芸能事務所のスカウトなどになりすまして、同様の手口で犯行を重ねており、同署によると、昨年3月以降、34件(総額370万円相当)の被害届が出ている。このうち25件の容疑を認めているという。 谷は07年の日テレジェニックに選ばれて、本格的に芸能活動をスタート。グラドルとしてだけではなく、バラエティ、ドラマ、映画などに出演し、マルチな才能を発揮しているタレントだ。(蔵元英二)
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社会 2013年05月09日 11時45分
立教中高の事務局長が約8300万円を着服
立教大などを運営する立教学院は5月7日、中高一貫校の立教池袋中学・高校(東京都豊島区)の男性元事務長(59)が、00年から11年の12年間にわたり、福利厚生資金など、計8312万7763円を着服していたと発表した。 元事務長は発覚後の4月5日に退職したが、約5000万円の返済のメドが立っており、残額についても、弁済の確約を得て、全額回収の見込みであることから、学院側は告訴や懲戒処分はしない方針だという。 同学院によると、元事務長は00年から、学校会計外の3つの銀行口座(福利厚生資金、諸経費、互助会)の管理を任されており、そのうちの約8300万円を私的に流用した。11年6月に他校へ異動となり、不正が発覚した。 元事務長は着服したカネを飲食代などの遊興費や、借金を背負った親類への援助などに使ったと話している。 同学院によると、着服が長期にわたってみつからなかったのは、学校会計外のものとして、監査体制が機能していなかったためとしている。今回、この3つの口座を廃止し、学校会計外の口座すべてを調査し、監査を徹底するという。 また、事務長の職業倫理の欠如に大きな原因があるものの、長年にわたり同じ部署で働いていたことも不正を助長したとして、防止策として、教職員の業務管理体制を見直すとともに、政策的に人事異動の活性化を図るとしている。 学校会計外の口座のカネだったから、長年にわたって発覚しなかったといっても、着服額は約8300万円と高額。一人に任せ切ったことも大きな原因だろう。(蔵元英二)
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社会 2013年05月08日 15時00分
仕組まれた株高・円安“燻る火種” GW明け安倍・黒田バブル崩壊の恐怖(2)
アベノミクスの失速懸念が囁かれているのは、何もそれだけの理由ではない。 ギリシャに端を発した金融危機はキプロスに飛び火。これがスペイン、イタリアなどに波及し、欧州各国を舐め尽くしかねない。そんな事態になれば世界同時恐慌が現実味を増す。足元の東アジアでは、引き続き尖閣問題で日中間に暗雲が漂っているし、北朝鮮からも目が離せない。 もし不測の事態が発生し、戦禍が一気に拡大すれば、世界を震撼させて株価は大暴落する。たとえ5月危機が杞憂に終わるにせよ、6月以降にどんな修羅場が待っているかは誰にも分からない。言い換えれば、市場がはやすアベノミクスの前途は、実に危うい限りなのだ。 リスクは国内にも渦巻いている。自信満々の黒田日銀総裁は「異次元の金融緩和」を唱え、国内外の投資家を仰天させた。しかし、その手法には危うさもはらんでいる。典型例が国債市場の7割を日銀が吸い上げるという“禁じ手”だ。 長期金利は史上最低水準に押さえ込まれ、銀行や生保は国債で運用したのでは想定利回りが確保できなくなり、比較的利回りが良い外国債券や株式などのリスク資産を買うことになる。結果、銀行や生保が株式市場に大量の資金を回し、安倍首相と黒田総裁が仕掛けたバブル相場を一気にあおり立てる図式である。 そんな安倍・黒田コンビのさもしい魂胆を見透かしたのが国際通貨基金(IMF)だ。 4月半ばに公表した各国の財政状況に関する報告書で「安倍政権が打ち出した景気対策に伴う財政出動で、これまでの財政見通しが大きく悪化した」と指摘。公的債務残高約1000兆円は、国内総生産(GDP)比で245%にも達することから「先進国で最も財政健全化が必要」と、異例の警告を発した。要するに安倍政権が仕掛けた円安株高の“にわかバブル”政策は地に足が着いていないため「国家財政の破綻に直結しかねない」とのイエローカードを突きつけたのである。 安倍首相はともかく、日銀の黒田総裁がIMFの意図を読み取らないわけがない。しかし、黒田総裁は頬かぶりを決め込んでいる。 「世間が何と言おうと、アベノミクスは消費税率を引き上げるための手段にすぎません。だからこそ黒田さんは日銀総裁に指名された。それを承知の彼が『殿、ご乱心』などと口が裂けても言えるはずがない。そんな黒田総裁の胸中を推し量った面々が、景気調査で策を弄したところで誰も驚きません」(政府関係者) 本来が官製バブルとはいえ、性懲りもなく再び宴に踊った大衆投資家の恨み節が聞こえてきそうだ。
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社会 2013年05月08日 11時45分
警察庁技官が路上で女性の尻を触る
警察庁の職員が、とんでもないことをしでかした。 山形県警山形署は5月1日、山形市内の路上で女性の尻などを触ったとして、強制わいせつ容疑で、東北管区警察局山形県情報通信部機動通信課技官・杉山正広容疑者(39=同市香澄町)を逮捕した。杉山容疑者は「大変申し訳ないことをした」と容疑を認めている。 逮捕容疑は、4月23日午後10時半頃、同市香澄町の路上で、アルバイト勤務を終えて徒歩で帰宅途中の20代女性に対し、尻を無理矢理触ったり、抱きつくなどしたとしている。杉山容疑者は女性に抵抗され、そのまま現場を立ち去った。 女性は翌24日に交番に被害を届け出た。同署は防犯カメラの映像や被害者の証言などから、杉山容疑者を特定した。 杉山容疑者は92年に技官として警察庁に採用。05年から同課に勤務していた。 事件当日、杉山容疑者は午後5時半頃、勤務を終えて退庁したといい、県警は詳しい動機などを調べている。 同部では「被害者に対して深くお詫びを申し上げる」と謝罪。今後、杉山容疑者への処分を検討する。 午後10時半というと、もう夜も深い。そんな時刻に、路上を歩いている女性に抱きついて、尻を触るなど、悪質極まりない卑劣な行為。 しかも、警察組織に関わっている人間の犯行であったとは、開いた口がふさがらない。警察庁の職員としての良識が問われる。(蔵元英二)
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社会 2013年05月07日 15時00分
仕組まれた株高・円安“燻る火種” GW明け安倍・黒田バブル崩壊の恐怖(1)
「アベノミクスは5月にも失速し、早々に馬脚を現すのではないか」 株高・円安の宴に冷や水を浴びせる、こんな不吉な観測が囁かれている。 市場関係者は「荒唐無稽と一蹴できないところが不気味」と打ち明ける。実際、時事通信社が4月に行った世論調査によると、景気回復を「実感する」と答えたのは23.7%にとどまり、「実感しない」とした68.6%を大きく下回った。確かに、国民の大多数は至って冷ややかだ。 一方、内閣府がまとめた3月の景気ウオッチャー(街角景気)調査によると、景況感を示す現状判断指数は前月比4.1ポイント上昇の57.3となり、2006年3月につけた過去最高水準に並んだ。しかも日銀が発表した4月の地域経済報告(さくらリポート)は、全国9地域全てで今年1月の前回報告から景気判断を上方修正し、北海道を除く8地域で「個人消費は底堅い」と指摘。その理由として「円安株高に伴う企業マインドの好転で、個人消費や住宅投資が堅調なことを反映した」等と説明する。 しかし、前述した時事通信の世論調査とのギャップはあまりに大きい。内閣府の街角調査また然りだ。これは何を意味するのか。 「アベノミクスを積極的に推進したい政府の調査と、仕組まれた官製バブルに全く利害関係がない国民の意識の違いがハッキリ表れたまでのこと。安倍政権は来年4月に予定する消費税率8%への引き上げのために手段を問わなくなっているのです」(金融情報筋) むろん内閣府や日銀がお手盛りを施したとは言わないが、あらゆる統計に作為的なものが紛れ込みやすいのは、洋の東西を問わず昔から“常識”なのだ。情報筋が続ける。 「順風満帆のスタートを切ったかに見える安倍晋三首相と日銀の黒田東彦総裁コンビにとって、最初のハードルは『5月危機』をどう乗り切るか。ここで立ち往生すれば、アベノミクスはあっけなく崩壊する。その懸念がくすぶっているからこそ『景気は気から』のデンで何とか正面突破を図る作戦なのです」 5月危機とは、昔から株式市場でまことしやかに語られる“格言”のことだ。 4月末から5月にかけては企業決算の発表がピークを迎える。3月期の業績はもちろん、今期の業績見通しが悪ければ投資家の失望売りを呼ぶ。当然、市場に与えるインパクトは大きいが、これに輪をかける動きがある。 欧米のヘッジファンドは大半が11月決算である。従って5月は中間決算期に当たるため、配当金を捻出する必要があり利益確定売りを急ぐ。兆単位の資金を運用するヘッジファンドが集中的に売り抜ければ株価は急落し、これが同業他社に波及すれば、たちまち負の連鎖が拡大する。リーマン・ショックなどの例外はあるにせよ、1年を通じて市場が最もパニックに陥りかねないのが5月なのだ。 これは世界的傾向とされ、ニューヨークのウォール街では「5月に売り逃げろ」の格言が今なお語り継がれている。
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社会 2013年05月07日 15時00分
安倍晋三首相が取り組む夜の会食相手 注目集める『劇団四季』の浅利慶太氏
安倍晋三首相の夜の会食相手として『劇団四季』の浅利慶太氏の名前が挙がり、なにかと物議をかもしている。 安倍首相は1月から、渡辺恒雄読売グループ本社会長らをはじめ、テレビや新聞のトップと会食している。同氏とは1月7日にパレスホテル東京の日本料理店『和田倉』でさしで食事をしたとされる。 「この頃に、松井秀喜、長嶋茂雄両名の国民栄誉賞の話を、ナベツネ氏が安倍にもちかけたとみていい」(新聞業界事情通) 安倍は2月に入ってからも帝国ホテルの『北京』で木村伊量朝日新聞社長らと、3月には、芝公園のフランス料理店『クレッシェント』でフジ日枝久会長と次々に会食している。 「新聞に掲載されていないのはTBS井上弘会長、それに島田昌幸テレビ東京社長、後藤亘東京メトロポリタンテレビ会長ぐらいなもの。電波も紙媒体もほとんど付き合っています」(全国紙記者) だが、安倍も電波・紙媒体関連だけを相手にしているわけではない。 「『週刊文春』『週刊新潮』や『財界』『経済界』『フラッシュ』などの媒体にもきちんと大物を裏広報に仕立て、パイプ作りを熱心にやっていますよ」(首相周辺関係者) その人物の一人が、『劇団四季』の浅利慶太代表である。 「浅利氏のマスコミ人脈を利用させてもらおうというわけですよ。銀座の高級クラブに編集長クラスを集める。第一次安倍政権のときはそれを実行した。安倍は財務省の局長級だった勝栄二郎前事務次官らもがんがん飲ませて取り込んだ。その手法を使うわけです」(前出・首相周辺関係者) 最近は編集長も世代が若くなっている。40代前半が主流だ。編集長の方も、首相という大物と飲めるため、声をかければ断る人間は少ない。安倍にとって怖いのはやはり週刊誌ということだ。 新聞記事にはならないが、浅利らと飲む機会はこれから月に2〜3回と増えていくことだろう。
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社会 2013年05月07日 11時45分
ナンパ目的で女性の車を次々にパンクさせた男に有罪判決
名古屋地裁岡崎支部は4月30日、女性をナンパする目的で車を常習的にパンクさせたとして、暴力行為法違反罪に問われた会社員・原田芳人被告(25=愛知県みよし市)に対して、懲役1年6月、執行猶予3年(求刑懲役1年6月)の判決を言い渡した。 国井恒志裁判官は判決理由で、「女性に声をかけ、友達になりたかったという動機は身勝手で巧妙。連絡先を交換するなど悪質」と指摘。一方で「被害弁償し、反省している」と述べた。 弁護側は「女性と知り合うきっかけが欲しかっただけで、つきまとい行為はしていない」として執行猶予を求めていた。 判決によると、原田被告は11年4月〜12年12月に5回、愛知県内の駐車場で女性が運転する車のタイヤをドライバーなどで突き刺し、パンクさせたとしている。 検察側の冒頭陳述などによると、原田被告は車をパンクさせ、タイヤ交換すれば女性と話ができるのではないかと考えて、実行した。女性が車に戻ると、「パンクしているよ。タイヤ交換をしてあげる」と声をかけ、連絡先を交換していた。 被害女性が知人女性に「タイヤ交換してもらった」と話したところ、その女性も同様の被害があり、「わざとではないか」と疑い、警察に相談し、一連の犯行が明らかになった。 弁護人は原田被告が車をパンクさせた件数について、なんと「約1000件あった」としており、極めて常習的だった。タイヤ交換してくれた親切な人を装って、ナンパにつなげるとは、いかにも悪質。その件数も尋常ではなく、有罪も致し方ないところか…。(蔵元英二)
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社会 2013年05月07日 11時00分
日本新聞協会の秋山会長が2年で交代 『軽減税率』導入めぐる読売vs朝日戦争
あまりにも早い交代劇ではないか。 日本新聞協会は4月17日、読売新聞グループ本社社長で読売新聞東京本社社長の白石興二郎氏を次期協会長に推挙することを決めた。 6月1日開催の定時会員総会・理事会で正式に決定する。任期は同日から2年間。 現協会長の秋山耿太郎朝日新聞会長は1期で終わることになる。 それにしても、秋山会長はなぜ短命だったのか。 「今年正月明けに秋山会長は自民党の石破茂幹事長を党本部に訪ね、消費税増税に伴って導入が検討されている『軽減税率』を新聞、書籍、雑誌などの活字媒体に適用するよう要請した。石破氏は『問題意識は理解した』と応じたがこれまでの秋山会長はゴリ押し不足。新聞協会の中でも不安視されていました」(新聞業界事情通) ただ、読売において協会会長ポスト奪取は、別の意味がこめられている。 「これまでは朝日、毎日、読売と回してきた。だが、読売は朝日の前任であった内山斉元読売グループ東京本社社長が長く牛耳ってきた。今度は朝日が長期政権となれば“問題”が発生するのです。つまり、『軽減税率』導入をなんとしても読売の会長で実現させたいわけです。これも、ナベツネさんの意向といわれています」(前出・新聞業界事情通) そのために読売は、元財務次官の丹呉泰建氏を'10年に社外監査役に迎えている。 なぜドンは焦るのか。 「88歳のときに大手町の新社屋が完成します。米寿の祝いと両方やりたいわけですよ。引退セレモニーもやるそうです。その前にやるべきことが『軽減税率』です」(読売新聞関係者) 一部では、体調がかんばしくないという情報もある。 「ナベツネ氏の大好物はソース焼きそば。しかし、最近はあまり食べていないようですね」(前出・読売新聞関係者) ドンのやりたいようにやれるのが読売帝国。今回もそうなるか。
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社会 2013年05月06日 17時59分
大阪市営バスの運転手が300円着服でクビ?
大阪市交通局は5月2日、市営バスの運転手(43)が料金収納機を不正に操作するやり方で、料金計300円を着服していたと発表した。運転手は「最近給料が下がったので、ついやってしまった」と話している。 交通局によると、運転手は4月29日午後5時45分頃、同市大正区の大正橋停留所で、乗客が料金200円(大人料金)を料金箱に入れて支払った際に、小児ボタンを操作。釣り銭返却口から出てきた100円を着服したとされる。この手口で、同日に計300円を着服したという。 不審に思った別の乗客が運転手に注意した上で、住之江営業所に通報し発覚した。 これを受け、運転手に事情聴取したところ、当初は否認。しかし、ドライブレコーダーの映像を確認したところ、この日だけで3回着服する様子が映っており、運転手も認めた。 着服は同日だけではないもようで、運転手は「4月上旬頃からやり始めた」と話しており、交通局などが被害実態を調べている。 運転手は交通局職員ではなく、市が運行を業務委託している大阪運輸振興株式会社(同市西区)の社員で、勤続年数は4年2カ月。同社では運転手を、懲戒免職処分とすることを検討している。 交通局では「同社に対し、当該運転手への厳正な対処を求めるとともに、全運転手に乗車料金の取り扱いについて厳正を期すなど、再発防止策を講じるよう指示しました。 また、同社においてコンプライアンス意識の徹底がなされるよう管理、監督に努めてまいります」としている。 同社は市営バスの8営業所のうち、3営業所で運行を受託している。市ではバスの民営化に向け、路線の一部を同社に譲渡する方向で検討している。だが、こんなことが起きていては、市民の理解は到底得られないのではなかろうか。(蔵元英二)
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社会 2013年05月06日 15時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第25回 非対称的なTPP交渉
TPP(環太平洋経済連携協定)の「事前交渉」が、極めてまずい状況に陥りつつある。 4月16日、ニュージーランドが日本のTPP交渉参加に向けた事前協議において、関税撤廃の例外を一切認めない方針を表明した。 農業国であるニュージーランドにとって、現在、進行中のTPP交渉における国益は、アメリカ(日本ではない)に農産品の例外を認めさせないことだ。ニュージーランドが日本に対し農産品の例外を認めると、TPP交渉においてアメリカにも認めざるを得なくなってしまう。結果的に、ニュージーランドは日本の交渉参加に拒否姿勢を示しているのだ。 とはいえ、日本政府はTPP交渉に参加しようとしている。そうなると、対ニュージーランドの交渉は、最終的にはどうなるだろうか。当たり前の話として、「日本のTPP交渉参加」と「日本の対ニュージーランドでの譲歩」が交換される形の交渉になってしまう。 先日のアメリカとの協議でも明らかになった残酷な事実は、現在の日本政府が行っている交渉は「目的が非対称」であることだ。 先方は「日本に譲歩させること」が目的であるにもかかわらず、こちらは「日本をTPP交渉に参加させてもらうこと」になってしまっているのだ。これでは、「交渉力」も何もあったものではない。 もっとも、筆者が問題視しているのは対ニュージーランドの交渉の話ではない。対アメリカの協議である。何しろ、TPPとは日本が交渉に参加したとして、日米両国で全GDPの8割を占める。日本にとって、TPPとはあくまで対米問題なのである。 先日の対米協議において、 「自動車について、アメリカ側の関税はTPPで定められた最も長い期間である10年間は撤廃しないこと」 「日本が書類上の審査だけで輸入を認める自動車台数を2000台から5000台に引き上げること」 「かんぽ生命の新規業務を日本政府が当面は認可しないこと」 といった「日本の譲歩」と引き換えに、アメリカ側は日本のTPP交渉参加を支持することになった。日本側の各種の譲歩と引き換えに得られたものは、「日本のTPP交渉参加容認」のみである。 ちなみに農産品について、日本側は「センシティビティ(具体的には関税を撤廃できない農産品の分野があること)を認識させた」と主張しているが、アメリカ側の説明では一切触れられていない。別に、農産品について「関税の例外を認めさせた」という話でも何でもないのだ。 非常に問題だと思うのは、上記の「協議結果」は、我が国がTPPに参加しようがしまいが「有効」になってしまうことだ。日本がTPPに参加せずとも、事前協議におけるアメリカとの合意は実質的なEPA(経済連携協定)として機能してしまう(日本の国会の批准は必要だが)。 さらにまずいことに、日本とアメリカの「協議」は、今後も続けられる。外務省の「日米間の協議結果の確認に関する佐々江駐米大使発書簡」によると、「(日米)両国政府は、TPP交渉と並行して、保険、透明性/貿易円滑化、投資、知的財産権、規格・基準、政府調達、競争政策、急送便及び衛生植物検疫措置の分野における複数の鍵となる非関税措置に取り組むことを決定しました。これらの非関税措置に関する交渉は、日本がTPP交渉に参加した時点で開始されます」とのことである。 連載第18回で解説したが、TPP、いやアメリカの「狙い」は、日本の農産品の市場だけではない。むしろ、金融サービス(保険など)や知的財産権、政府調達(公共事業など)、競争調達などの非関税障壁の撤廃、さらには「投資の自由化」がメイン・ターゲットなのである。 便宜上「非関税障壁」と呼んでいるが、金融サービスや知財、公共事業などに関する「規制」とは、我が国固有の文化、伝統、慣習に則り制定された「法律」である。アメリカは自国企業の日本市場におけるビジネスを拡大するために、我が国に「法律を変えろ」と言ってきているのだ。 最悪のケースは、「投資」について、アメリカの投資家の内国民待遇やISD条項が「非関税措置」として合意されてしまう事態だ。内国民待遇とは、ここでは「アメリカ国籍の投資家について、日本の投資家と同等に遇するか、もしくは優遇せよ」という話になる。 さらに、ISDとは日本に投資した投資家が、我が国の規制により損害を受けた場合などに、世界銀行(アメリカの影響力が極めて強い)傘下の投資紛争解決国際センターに、日本政府を訴えることができるという仕組みである。 日本が奇跡的にTPP交渉で「交渉力」を発揮し、過去の合意事項を覆していったとしても、同時並行的に行われる対米協議で上記の「非関税措置」について合意してしまうと、元の木阿弥となってしまう。 アメリカ側としては、日本に各種の非関税障壁(と、彼らは呼んでいる)撤廃や投資の自由化、ISDの導入を並行協議で押し付けることができれば、 「別に、日本はTPPに参加しなくても構わない」 という話になってしまうのだ。 何しろ、当初のアメリカ側の目的は達せられたことになるのである。 率直に言って、筆者は安倍政権のTPPに関する交渉力について疑問視していた。妥結直前に「駆け込み」で交渉に参加する国が、過去の合意事項を覆すことなど不可能に近い。 とはいえ、それ以前の問題として、日本がTPPに参加しなくても、アメリカとの協議次第では「国の形を変えられる」ほどの規制緩和、自由化を強いられることになってしまう。 別に読者を煽りたいわけではないのだが、極めて厳しい事態になってきた。三橋貴明(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。
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