当初は、関係者や第三者によって突き落とされたという「他殺説」や、チームメイトとふざけているうちに落下した「事故説」の可能性も疑われ、現場近くに居た3人の関係者に対し、地元警察による数回の事情聴取が行われた。その結果、他殺と事故のラインは消え、「自殺」という方向で捜査方針は固まりつつある。
だが、一方で現役のプロ野球選手がキャンプ中に自殺するという事件に関し、チームの責任ではないかという指摘も多い。村山良雄球団本部長を筆頭に、フロントや現場幹部たちの責任を追及する声がファンやプロ野球関係者から挙がっているのだ。今回、死亡した小瀬浩之外野手(24)は、中堅ながらも今シーズンの活躍が期待される選手であり、特に野球人としての悩みもなく、自殺する理由が見当たらない。一部で人間関係で悩んでいたのではないかという話もあるが、自殺の動機は不明なままだ。
だが、選手がチーム宿舎から転落死するという惨事を引き起こした管理体制は問題である。一般の会社であれば、肉体的なチェックを行う健康診断は当然のこと、社員のメンタルケアまで配慮しており、労働環境の改善に腐心している。また、上司や先輩によるパワーハラスメントや、過剰な労働に関しても専門家による厳しい指導が行われている。確かに運動部の延長線上である野球チームと一般企業を比較するのは適切ではないかもしれないが、オリックスが今まで選手のメンタルケアのチェック、チーム内のパワーハラスメントに対して対策を講じたという事実はあるのだろうか。
もはや、これは野球界全体の問題である。選手が自殺してしまう球団であってはいけない。球団とは、選手がのびのびプレーできる健全な企業であるべきだ。