足立区選挙管理委員会によると、加陽氏は足立区に住民票を置いておらず、届け出された住所は足立区内のカプセルホテルだった。同委員会は調査に乗り出していたが、居住実態がないと判断。公職選挙法では、区議の被選挙権について3か月以上住所を置くことを定めており、得票はすべて無効となった。
27日に開票された足立区議会議員選挙には57人が立候補し、45人が当選。そのなかで加陽氏は5,548票を獲得しており、投票が無効とならなければ8位となっていた。この票数は公明党(当選者のうち最高は5,441票)や、議席を獲得できなかった日本維新の会をも上回るもので、快挙ともいえる得票数だった。
選挙戦では、党名の通り「NHKから国民を守る」ことを掲げ、支持をアピールした加陽氏。居住実態がなく、無効票となってしまったものの、多くの足立区民が彼女を支持したことは間違いない。
“テレビがあるというだけで貧富の格差などを考慮せず強制的に受信料を徴収している”とNHKに対する不満を持つ声も根強く、その受け皿となっているNHKから国民を守る党は、一定の支持を得られているようだ。加陽氏の得票数も、その表れだろう。
一方で、NHKが法律に則った活動をしていることから、批判的な声も多く、日本維新の会・足立康史衆議院議員は、自身のTwitterでNHKから国民を守る党と立花孝志同代表(元東京都葛飾区議など)を激しく糾弾。憤った立花氏が反論するという事態に発展しており、その手法や主張が賛否両論となっている状況だ。
加陽氏の件についても、ネットユーザーの意見は割れており、「立候補を認めた後で得票無効とするのはおかしい」「民意は民意だと思う」と、「居住実態がないものが議員になれないのはおかしい」などの肯定的な声と、「足立区民じゃないのに区議になろうとするのはおかしい」「足立区とNHK解体となんの関係があるのかわからない」などの批判があり、意見が割れている。また、加陽氏については、司法書士と思われる複数のTwitterユーザーから、「司法書士会からの懲戒処分は免れないのではないか」との指摘も上がっている状況だ。
足立区に持ち上がった騒動の顛末が注目される。