ワンセグ裁判は5件発生しており、そのうちの1件は2016年、埼玉県内に住む男性がテレビを持っておらず、ワンセグ携帯のみ所有していたにもかかわらずNHKから受信契約を迫られたのはおかしいとして、提訴したもの。一審のさいたま地裁は「ワンセグは放送法が規定する放送設備の設置にはあたらない」として契約義務を否定した。
ところが、二審の東京地裁は2018年、放送法施行時に携帯ラジオが普及していたことを理由に「設置には携帯も含むべき」と判断。NHKの逆転勝訴としていた。原告は上告し、最高裁で争われるものと思われたが、棄却となった。
この最高裁の判断に、「国民を無視した判決だ」「司法が既得権益に配慮している」「携帯は設置に当たるはずがない」とネットユーザーは怒りの声を挙げる。そして、「なぜスクランブル放送にしないのか」「見る人だけお金を払えばいい。全く見ない放送にお金を払いたくない」「一方的に電波を送りつけておいて受信設備があるからお金を払えというのはおかしい」と構造的な問題を指摘する声もあった。
また、NHKの集金人が若い女性に対し威圧的な行動をとる、宅配業者と偽って契約を迫る、ドアを何度も叩くなど、迷惑行為が複数が報告されている現状で、この判決を盾に、さらに悪どい「取り立て」を行うのではないかという不安を訴える女性もいる。
一方で、「ワンセグ携帯はもう捨てる」「スマートフォンの時代でワンセグはもはや必要なくなったので無問題」「ワンセグ携帯はもう絶対に買わない」という声もあった。今回の判決はワンセグ付き携帯電話の普及率を下げる要因になるかもしれない。
NHKについては、2018年に受信料収入が過去最高を記録するなど、右肩上がりで儲かっている状態。その一方で、元記者による連続強姦致傷事件や受信料の着服などの不祥事が後を絶たない上、報道番組で見られる思想の偏り、職員による不倫、セクハラも立て続けに報じられ、「既得権益の権化」などと揶揄されることがある。法律で受信料支払いが義務化されていることをいいことに、「好き放題やっている」と言われても致し方ないだろう。
現行の放送法では、「見たくなくともNHKを見ることのできる環境にあれば受信料を払わねばならない」という非常にいびつなもの。今後、NHKはネット同時配信を準備しているが、今回の論法でいくと、「ネット環境と受信できるパソコン・スマートフォンを持っていれば受信料支払いの義務がある」と言いかねない。
多くの国民が不満に思っている現行の放送法。「見たくない人間は停波」という選択肢を取っていくべきなのではないだろうか。