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麻生首相 赤っ恥夕食会

 英ロンドンで2日に閉幕した20カ国・地域(G20)の第2回首脳会合(金融サミット)で麻生太郎首相が赤っ恥をかいた。各国首脳らが顔をそろえた1日の夕食会は、英国産食材を中心としたシンプルなメニューだった。昨年7月の北海道洞爺湖サミットでの豪華ディナーに英国内で批判が高まったためという。一流ホテルのバー通いを「安い」と言い張って譲らない麻生首相には、あてつけのような粗食ディナーとなった。

 リッチ感ゼロといっていい粗食ディナーの献立は、英国人の有名シェフ、ジェイミー・オリバー氏(33)が手掛けた。
 メニューにはキャビアやフォアグラといった高級食材はなく、魚と肉料理をそれぞれ1品ずつとありふれたデザート。魚料理は焼いたスコットランド産サーモンに野菜を添えたもの。肉料理はウェールズ産ラム肉のローストだった。デザートにいたっては、英国人になじみの深いカスタードクリーム添えのタルトでおしまい。あくまで国際会議の延長線上にある夕食会であって、これはディナーパーティーではないという明確なスタンスを感じさせた。
 ほかにベジタリアン(菜食主義者)用料理が2品用意されたという。
 若きオリバー氏は“英料理界の貴公子”と呼ばれる。その腕が織りなす料理は素材の味を生かすことに主眼が置かれ、高級食材に頼らない。日本でいえば“若き道場六三郎”といったところか。かつて人気テレビ番組「料理の鉄人」で“和の鉄人”として活躍した道場氏は、冷蔵庫の残り物でアッと驚く料理をつくった。オリバー氏もまた手に入りやすい食材でシンプルな料理を作ることで知られる。
 社会活動家でもあるオリバー氏は、失業などの問題を抱える若者をシェフなどとして育て、自立させることを目的としたレストランを立ち上げている。この日の夕食会では、同レストランで働く若者が麻生首相夫妻やオバマ米大統領夫妻らのため腕を振るったという。

 オリバー氏が起用された背景には昨年7月の洞爺湖サミットがある。同サミットの主要議題は高騰する食料問題だったにもかかわらず、豪華ディナーを用意。それを食べながら食料危機を語るのは“いかがなものか?”と英メディアがこぞって批判した。あまりに偽善的だったとして反面教師にされたわけだ。
 献立は英政府の方針で「景気後退の時代を反映させた安価なメニュー」(英紙タイムズ)となり、大衆紙デーリー・ミラーは「キャビアや年代物のシャンパンは献立から消える」と予告していた。同紙はオリバー氏の起用を「雇用を生み出すことで、景気後退に立ち向かう」という英政府の考えを示す意図があるとまで解説してみせた。
 こうなると、華やかな夕食会の席も麻生首相夫妻には“針のむしろ”である。洞爺湖サミットは福田康夫前首相がホストを務め、福田氏夫妻が主催したディナーに麻生氏は関わっていない。しかし、“KYメニュー”を提供した日本の首相として、英国民の冷たい視線を浴びるほかなかった。
 洞爺湖サミットでは、北海道の大自然の恵みをふんだんに使った豪華料理がずらり。利尻島のバフンウニやオホーツク海の毛ガニ、白糠の子羊肉、美瑛産のアスパラなど地元の高級食材をこれでもかというほど使った。それでも飽き足らずキャビアやトリュフまで…。ワインはブルゴーニュ産の白、カリフォルニア産の赤、デザートワインまで準備した。このディナーを英メディアは「キャビアやウニを食べながら指導者は食料危機を考える」(インディペンデント紙)などと痛烈に皮肉った。
 今回の金融サミットは、世界不況の中で落ち込む国際貿易をどう回復させるかが主要テーマの1つ。資金不足が深刻化している新興国や途上国の貿易縮小を回避するため、日本政府は2年間で220億ドル(約2兆2000億円)の支援を決めた。豪華ディナーに舌鼓を打っている場合ではないのである。
 民主党の“敵失”でちょっぴり支持率が上向いた麻生首相は“手土産”持参で意気揚々と乗り込んだまではよかったが、なんともホロ苦い夕食を味わうハメになった。

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