ここで、非常に気になるのは不足する電力の問題。両リゾートがフル稼働した場合、消費する電力は一般世帯の約5万7000世帯分ともいわれている。ディズニーリゾートが全面再開した場合、電力事情がひっ迫する恐れもあるのだ。運営するオリエンタルランドでは、トイレ、エレベーター、噴水などの付帯施設で節電に努め、エレクトリカルパレードは供給に余裕のある深夜電力を蓄電して賄うとしており、社会的な理解を得たい考え。また、一部電力は自家発電で賄うという。
そこで、どうしても素通りできないのは、同じく大量の電力を消費するプロ野球やJリーグとの対比。震災で公式戦が休止となったJリーグは電力事情を鑑み、公式戦の再開日を4月23日とし、4月中の東京電力、東北電力管内でのナイトゲームを自粛するとした。
一方、プロ野球パ・リーグは開幕日を3月25日から4月12日に延期。Jリーグにならい、4月中の両管内でのナイトゲームを自粛。ところが、開幕を急ぐセ・リーグは3・25開幕を目指したが、オカミ(政府)からダメ出し。4日ずらして、3月29日に節電開幕を強行しようとしたが、オカミの注意を受け断念。パと同様に4・12開幕、4月中の両管内でのナイトゲームを自粛及び東京ドームでの試合を行わないことで決着した。
これを受けてか、Jリーグは5月中も両管内でのナイトゲームを行わないことを追加で決めた。東京ドームで試合を行った場合、3000〜4000の一般世帯分の電力を消費するといわれているが、ディズニーリゾートはその10倍強の電力を消費し、その比ではない。プロ野球やJリーグのナイトゲームがNGで、それらより電力を使うディズニーリゾートの夜間営業は、なぜOKなのか大いなる疑問が残る。オカミはセ・リーグのときのように、なぜクレームを付けないのかナゾだ。
「オリエンタルランドの作戦勝ちでしょう。タイミングが良かったというしかありません。節電対策も明確です。セ・リーグの開幕問題が紛糾した際は、電力事情もひっ迫し、計画停電の真っただ中でしたから、ナイトゲームや東京ド−ムでの試合など到底許されるものではありませんでした。その後、計画停電は中止、ここに来て供給電力量が増したことで、ディズニーリゾートの営業再開、全面復活にもクレームが入らなかったものと思います。それに、ディズニーリゾートは国民に非常に人気のあるテーマパークですから、海江田万里経済産業相も蓮舫節電啓発担当相も文句はいいたくなかったのでは。国民のヒールにはなりたくないですから」(ジャーナリストA氏)
4月22日から予定されていたプロ野球の東京ドームでの巨人対中日3連戦は、代替球場が見つからず中止となった。現況なら、予定通り、東京ド−ムで開催しても何ら問題はなかったことになる。そのウラでは、東京ディズニーランドが夜間営業再開。なんとも、スッキリしない皮肉な事態ではあるが、まさに「タイミングが良かった」というしかない。
(蔵元英二)
※関連記事
東京ディズニーランド営業再開にブーイングも…
http://npn.co.jp/article/detail/35997001/