ピーク時には代官山辺りのマンションをどこかの不動産会社の役員に買い与えられたと話を聞いた。確かに見た目はグラマラスで、しっかりと化粧した顔も一昔前のモデル風。一辺倒の学歴以って昼間の仕事に就くよりも、生まれ以って付いてきた世間受けする外見をフルに活かして夜の仕事を選んだヒロミ。
いつの間にか自らいい女と勘違いするようになったのも仕方ないとしても、貧乏金持ちに関係なく一秒一分と誰にでも平等に課せられる年波を防ぐことは到底無理。
飲酒、喫煙に加え、おまけに昼夜逆転の生活が身体に負担を掛けて、老けを一気に加速させる。何年か振りに偶然にも銀座のデパートで来合わせて、30歳後半の筈なのに明るい太陽に元では吸血鬼同様に50歳くらいに見える今のヒロミ。
いくら親しい仲でも「おい、オマエ随分老けたなあ」だなんて言いよどむ。「今、銀座でチーママしてるの。是非、今度遊びにきてね」と、名刺を手渡された。着物を着ているせいで余計に老けて見える。
軽く立ち話をすると、これまた不況の折、相当に売り上げも厳しい様子。なるほど、この風貌も歳だけの問題ではなさそうだ。お店へのお誘いも決して社交辞令とは違うだろう。「選挙も終わったし、これから景気も良くなるかしら」だって、まったく、オレもそう思わない限り、将来不安でやってられないよ。
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