この事件に対して、ネットユーザーからは「日本も治安が悪くなったな…」「犯人の2人が、より凶悪な事件を起こす前に、逮捕されてよかった」と、事件の凶悪性に対する怒りの声が上がっていた。また、「傘という日常で使う物を恐喝の用途に使う発想が怖い」「傘で脅されたとしても、恐ろしいだろう。本当に殺されかねない」「傘が原因となった死亡事件が過去にあったような覚えがある」といった、凶器に傘が使用されたことに恐怖を感じる人も多いようだった。
実際、傘が凶器となって、人の命が失われた事件が過去にあった。2015年6月26日の深夜、JR東京駅八重洲南口近くの路上で、50代の男性会社員同士が送別会の後、もみ合いのけんかになり、一方が相手のビニール傘で顔面を叩いたところ、傘の先端が男性の左目に刺さってしまった。被害者の男性は当初は意識不明の重体だったが、その後入院先の病院で死亡。傘で男性を叩いた男は、「酔っ払って仕事のことで口論になって傘で叩いてしまった」と容疑を認めていた。傷害致死の罪に問われたこの男に対し、2016年2月10日、東京地方裁判所は、「偶発的な事案だった」として執行猶予の付いた懲役2年6か月の判決を言い渡した。
この事件のように、傘で人の命が失われることもある。今回の事件では死傷者が出なかったことは不幸中の幸いだが、誰でも入手できる傘を使い、「殺す」と現金を脅し取ったやり口には、怒りを禁じ得ない。
文/浅利 水奈