NY市場はオバマ氏の金融危機対策に“12年ぶりの安値”で答えた。現地発の共同通信によると、2日のNY市場ダウ工業株30種平均は4営業日続落で下げ幅は計587ドルに達し、終値ベースで1997年4月下旬以来の安値水準に沈んだ。2007年10月につけた史上最高値の1万4198.10ドルから52%超下落した計算になる。現地の証券マンは立っていられないほど落ち込んでいる。
米保険大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が米企業史上最悪の赤字決算を発表したことを受けて、金融関連だけでなく幅広い銘柄に売りが広がった。金融大手シティグループ、電機・金融大手ゼネラル・エレクトリック、自動車最大手ゼネラル・モーターズなどが軒並み10%以上下落。市場からは「金融機関の業績が底入れする兆しが見えない。株を買う環境にない」(米市場アナリスト)との声が聞かれた。
オバマ政権は新たな金融安定化策の下、AIGへ最大300億ドル(約2兆9000億円)の追加支援に踏み切るほか、金融大手シティグループ株の36%を握って公的管理下に置くと決めたばかり。こうした一連の金融危機回避策を市場は評価しなかった。
こうなると、世界のマーケットも敏感に反応するもの。英ロンドン発の共同通信によると、週明け2日の欧州の各地の株式市場は、ロンドンのFT100種株価指数が前週末比5.3%安の3625.83と03年3月以来6年ぶりとなる安値を記録、軒並み下落した。
AIGの巨額赤字決算に、英大手金融グループHSBCによる大規模増資の発表が重なって、欧州金融機関に対する経営不安が再燃。銀行株を中心に売られた。
米金融危機に端を発した昨秋の“世界同時株安ショック”が再び襲来する危険性が高まってきた。