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『エイリアン・ビキニの侵略』、オ・ヨンドウ監督インタビュー

 10月22日(土)からシアターN渋谷などで公開される本年度最大の話題のコリアンSci-Fiムービー、『エイリアン・ビキニの侵略』を監督したオ・ヨンドウ氏にインタビュー、今回の作品のことや彼の映画観について伺った。

 『エイリアン・ビキニの侵略』は、今年2月に催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」のオフシアター・コンペティション部門に出品されると、応募作品347本の中からノミネートの1本に選出され、審査員の林海象監督や『チェイサー』のナ・ホンジン監督などの層々たるメンバーから大絶賛を受けている。そして、外国作品としては初めての同部門グランプリを獲得した。そんなことから、今後はこの作品を機に世界進出するのが必至なオ・ヨンドウ監督に対し、各国の映画ファンやメディアから熱い視線が送られている。

 リアルライブ(以下 RL)「今回の映画は、相当な低予算(ムービーデータベースには日本円で約34万円とある)で制作をされたようですが、現場での苦労はありましたか?」

 オ・ヨンドウ監督(以下 OY)「まず、映画というのは観客を魅了させる目的がありますよね。お金が無いということは、観客の目を奪う部分を作り難くすることになると思います。そういった点では苦労しましたが、低予算映画というのは短所ばかりではなく、長所があるとすれば…制約が多い中でいろんなアイデアを出すことができる点です。いろいろな方法を模索していくうちに時々とても思いがけないアイデアが浮かぶことがあります。こういうこと楽しみのひとつでもあります」

 RL「そうしますと、今回の映画は撮影現場も誰か知り合いの家であるとか、劇中に出てきた主人公ヨンゴンの愛車、黄色のクーペも友達の誰かから借りていたとかでしょうか?」

 OY「はい、その通りです。笑い話なのですが、その黄色の車というのはヒュンダイのティブロンという車種なんですが、友人から丸1日撮影のために借りていたんです。ところが、それから翌日にその友人がティブロンを売却しようとしていたので、彼にどうかあと1日だけ使わせてくれと頼み込んでなんとか撮影を続けることが出来ました(笑)」

 RL「製作日程はどのくらいだったんですか?」

 OY「実際の撮影実働日数は、20日間でした。ただし、韓国では撮影と撮影の間でいろいろな準備をしなければならないので、トータルでは1か月から1か月半くらいは費やしました」

 RL「今回の映画のテーマを教えてください」

 OY「特にテーマというものはありません。これは一人のオトコの物語です。あくまでも楽しむための映画だと考えています。あえて、テーマとして挙げるとすると、それは『楽しもう!』です」

 RL「どうしてエイリアンがビキニだったんでしょうか?」

 OY「セクシーだからです(笑)」

 RL「リアルライブが思うには、登場人物のエイリアンがビキニを着ているセクシー美人だなんて、なんだか70年代のヨーロッパ・エロスアクション映画を彷彿とさせましたが、実際にどの映画へのオマージュとかはありましたか?」

 OY「70年代のヨーロッパ映画からもインスピレーションを受けていることは確かです。また私が最も影響を受けたものが、エクスプロイテーション映画というジャンルなのです。ですから今回、映画のタイトルにもインスパイアされたデザインなどを仕様して、全体にレトロな雰囲気を作りました」

 RL「今回の映画で監督が意図していたことは全て描ききれましたか?」

 OY「先程お話しした低予算ということにも関係するのですが、今回は製作を始める前に考えていたこと全ては描ききれませんでした。やはり資金が少ないということは厳しかったです。ただしストーリーに関しては全て語ることが出来ました。ただ、仮に予算が50億や100億あったとしても、いつもなにか足りないとか満足できないという残念な部分が残ってしまうのが映画製作だと思います」

 RL「前作『隣のゾンビ』のテーマもかなり荒唐無稽でしたが、これらは監督のアイデアですか?」

 OY「出発点を突き詰めたとき、これが私のアイデアかと尋ねられるとそうだと思いますが、私たちの映画というのは徹底した共同作業ですので、誰のアイデアが優れていて、誰のアイデアを多く取り入れたなどは言いきれません」

 RL「では、例えば監督のアイデアが頭に浮かぶ時の状況や場所などを教えてください」

 OY「それはインスピレーションに関することですか?」

 RL「はい、そうです」

 OY「生活そのものからインスピレーションを感じ得ます。日々の生活で遭遇する全ての物事から影響を受けていると思います。例えば、今のこの瞬間もそうなのですが、ここにいる人達を観察することで想像力をかき立てられたりします。実際に今こうして話しているあなたが、どんなキャラクターなのかを想像したり、また実際の人格とは別なキャラクターを空想したりすると、いろいろなストーリーが考えることが出来ます。また写真を見るのが好きで、そこからインスピレーションを受ける場合もあります。自分の周囲から触発されることが、私の生活の一部であり、また趣味でもあります。そして、それらのアイデアを仲間同士で酒を飲みながら持ちあって、また新しいアイデアが生まれるといった感じです」

 RL「これからどのような映画を作っていかれますか?」

 OY「とにかく面白いものを製作していきたいです」

 RL「それはジャンルを問わないということですか?」

 OY「基本的にはアクションというジャンルが一番好きです。ですからこれからもアクション映画を撮り続けていくつもりです。ただし、私が映画を製作するにあたり一番重要であると考えている点は、『面白さ』です。また、この『面白さ』はただ単純に笑えるということではなく、例えば悲しさ、驚き、恐怖という、人の心を動かすことの出来るものが、私の映画にとって重要であると考えています」

 RL「監督にとって映画というのは、娯楽性、現術性、収益性の中で何が一番優先されますか?」

 OY「収益を得るには、娯楽性と芸術性を兼ね備えていないと成り立たないと思います。全てが必要な要素ではないでしょうか」

 RL「今までに監督が影響を受けた映画、映画監督、また先程の話にもありましたがフォトグラファーなどが存在しましたら教えてください」

 OY「今までいろいろな作品を見てきているので、ひとつを選ぶのはたいへん困難なのですが、一番数多く観たのはフランス映画の『ベティー・ブルー』です。この映画を観たときには本当に衝撃を受けました。映画の道に進むきっかけになった作品です。また映画は次々に新しい作品、良い作品が膨大な数で出てきますので、何が一番良いかと決めることはとても悩ましいことです」

 RL「日本映画で何かお気に入りの作品や監督を教えてください」

 OY「凄く好きなのはアニメーションの『AKIRA』です。もともとアニメーションが大好きで、韓国では、特に私の世代は日本の漫画やアニメーションにどっぷりと浸かっていましたので、その影響は大きいと感じています」

 RL「現在製作されている作品がありましたら、簡単に紹介してください」

 OY「撮り終えたばかりですが、SF探偵アクションです。ストーリーは、あまり推理が得意でないけど一生懸命でひたむきな探偵がタイムマシンを探すという物語で、恋愛あり、アクションありという内容です」

 RL「プロダクションのキノマンゴスチンには何か特別な意味はありますか?」

 OY「果物のマンゴスチンはご存知ですよね?自分がマンゴスチンを好きだったことと、(ドイツ語で)映画を意味する『KINO(キノ)』をつけたものです。ふたつとも自分の好きなモノを合体させた結果です」

 RL「今後の予定を教えて下さい」

 OY「次は大手の映画会社とアクション映画を撮る話し合いをしています。キノマンゴスチンに於いては、現在5つくらいの企画を準備しています」

 RL「最後に日本のファンにメッセージをお願いします」

 OY「まずはみなさんに映画を必ず観てください! お願いします(笑)。そして気楽に楽しんで観てください。ハリウッド映画や、他の商業映画とは違った新しい世界を感じて頂けると思います」

 OY&RL「ありがとうございました」

『エイリアン・ビキニの侵略』
監督・脚本:オ・ヨンドウ、製作:チャン・ユンジョン、

提供・配給:キングレコード/配給協力・宣伝:太秦
(C)kinomangosteen 

10/22(土)よりシアターN渋谷 ほか全国順次公開
公式HP:http://www.alien-bikini.com

オ・ヨンドウ監督略歴
1975年1月26日生まれ。1995年から映画産業で働き始め、2007年に短編映画『クリスマスを切る』(未公開)で監督デビュー。翌年、映像制作集団“キノマンゴスチン”を設立、オムニバス・ゾンビ・ホラー『隣のゾンビ』(09)を製作。『隣のゾンビ』はプチョン国際ファンタスティック映画祭で観客賞、審査員特別賞を受賞。これがきっかけで、“キノマンゴスチン”は韓国インディーズ映画界で注目を集めるようになる。『エイリアン・ビキニの侵略』は“キノマンゴスチン”の第二回製作作品で、オ・ヨンドウ監督にとって初の長編監督作品。次回作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の支援を受け、未来から来た女性と一緒にタイムマシンを探す探偵のSF・ミステリー・アクション映画を撮り終えたばかり。

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