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4人も捕手を指名した真相、巨人の異例ドラフトは「ネクスト高橋」の布石?

 クライマックスシリーズを勝ち上がった福岡ソフトバンク、DeNAは日本シリーズの真っ只中だが、他10球団はドラフト指名選手との交渉を始めている。怪物・清宮幸太郎は北海道日本ハムが交渉権を獲得し、超高校級捕手・中村奨成は地元広島へ――。各スカウト、編成スタッフはドラフト指名リストを見て、ライバル球団がどんなチームビジョンを持って指名に臨んだのか、このオフ、どんなトレードを仕掛けてくるのかを予想していたが、巨人に対してだけは「よく分からない」の声が尽きない。

 巨人は育成枠を含め、4人の捕手を指名した。侍ジャパンの正捕手でもある小林誠司は今季138試合に出場した。2年目の宇佐見真吾は打撃でアピールした。それでも、捕手をドラフト指名したということは、巨人が現状に満足していなかったからだろう。しかし、問題なのは、同時に4人も指名したこと。しかも、4人とも年齢が近い。育成枠ならともかく、プロ野球界では、1回のドラフトで捕手を2人以上指名することは“タブー”とされている。

「2001年、阪神は自由枠で法大の浅井良捕手を指名し、9巡目でも早大捕手を獲ったんです。捕手は一人前に育つまで時間が掛かります。育てるには試合に出さなければなりません。大学生と高校生なら年齢が離れている分、同時期指名でも分からなくはないが、大学生2人、それも同じ東京六大学リーグから獲ったのは驚きでした。今回、巨人が年齢の近い捕手を4人も獲ったのには、何かワケがあるのでは?」(プロ野球解説者)

 阪神の同時期指名の目的が解明されたのは、2年後。03年のドラフトの目玉だった早大・鳥谷敬内野手は阪神を逆指名した。浅井と同時期に指名された早大捕手は「学校側が各球団に売り込みをかけていた」とされ、それに応えることで阪神は学校側とも良好な関係を築き、鳥谷獲得を有利に進めたという。

 今回の巨人の複数指名にはどんな狙いが隠されているのか。正捕手の小林や宇佐見を発奮させるためだけではなさそうだ。

「小林はリーグトップの盗塁阻止率を誇りますが、打撃成績は2年連続でリーグワースト。2割6厘の低打率を、高橋(由伸=42)監督は『弱点』と解釈しています。宇佐見は守備面での不安が多く…」(スポーツ紙記者)

※ ※
2位 岸田行倫(大阪ガス 21歳)
3位 大城卓三(NTT西日本 24歳)
育成枠 広畑 塁(立正大 22歳)
育成枠 小山翔平(関西大 21歳)
※ ※

 高校野球フリークの間では、報徳学園出身の岸田は有名だった。正遊撃手だったが、チーム事情で捕手にコンバートされ、14年センバツ大会ではピッチャーも務めた。野球センスの高さは12球団スカウトが認めていたが、「捕手歴は実質1年」ということで、社会人野球での成長が見守られてきた。大城は東海大学時代、バットマンタイトルも獲得している。一塁手でも試合に出ており、「打撃優先」での指名だろう。育成5位で指名した広畑と重ね、こんな見方もされている。

「広畑は東海大五高の出身です。東海大系の選手を2人も獲りました。来季も優勝を逃せば、高橋監督でも安泰とは言えません。東海大学出身の原辰徳氏に3度目の監督登板も噂されており、その布石では」(ベテラン記者)

 また、今回のドラフトは“問題”になる可能性もある。育成6位の小山は入団テストを受験してのプロ入りだ。小山は「プロ志望届」を出していない。プロ側のルールによれば、「出す必要のない選手」だった。小山は巨人の入団テストを受けるにあたって、関西大学野球部を退部している。大学野球連盟では「大学野球部員のプロ野球団との関係についての規定」なるものがあり、志望届を出さなければ、プロ球団側とは一切接触してはならないと決められている。

 プロ野球の入団テストは9月に行われることが多い。プロ野球選手になりたいとする夢に挑戦するには、退部届を出すしかなかったようだ。

「9月は秋季リーグ戦があり、野球部に所属する大学生は受験したくてもできません。退部による受験を許していたら、大学側は秋季リーグ戦で4年生を使えなくなってしまいます」(前出・同)

 4年秋のリーグ戦に出場する大学生はプロ入りか、社会人野球に進む可能性が残された者で、「最後のアピール機会」とも位置づけられている。しかし、部員数の少ない大学にとって4年生は貴重な戦力である。「退部による入団テスト受験」に関する見直しを、大学野球連盟がプロ側に求めてくるかもしれない。

「13年も巨人は育成2位で大阪経済大学野球部の退部者を指名しました」(球界関係者)

 退部による入団テストが仕組まれたものだとすれば、規約を改定しなければならない。

 巨人が育成枠で指名した2人の捕手だが、ともにレギュラー捕手ではなかった。4年間での出場機会も少なかった。その広畑、小山が支配下登録を勝ち取れば、巨人スカウトには「見る目」があったということになる。このままいけば、来季の巨人捕手は計11人。広畑、小山が巨人スカウトの眼力を証明するのは並大抵のことではなさそうだ。

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