日ハム関係者は「7分の1」を引き当て、満面の笑みを浮かべていたが、身辺が騒がしくなってきた選手もいる。主砲・中田翔(28)である。中田は今季、国内FA権を取得した。昨年オフの時点から「金本阪神に行く」「在阪のオリックスも放っておかない」「いや、巨人が…」と、FA宣言を前提とした移籍のウワサも出ていた。しかし、今季は不振に陥り、打率は2割1分6厘、本塁打も16本とふるわなかった。「この成績では、たとえFA宣言しても買い手はつかない」(スポーツ紙記者)との声がもっぱらだったが、清宮の指名成功で状況が変わってきた。
「日ハムは『去る者は追わず』の姿勢。20代半ばでピークを迎えるようなチーム編成をしており、そういった空気を察し、歴代主力選手もFA権獲得と同時に新天地を求めていきました。中田もそういったチームの空気は分かっています」(ベテラン記者)
日ハムは選手を「4つの種類」に分類する。主力、控え、育成、戦力外。戦力外なる露骨な言い方はしていないが、「もう、いらない」と判断される選手には2通りがある。戦力的、技術的に肩たたきされた選手はもちろんだが、年俸の高いベテランに対しても、「費用対効果」を考える。年齢的にこれ以上の上積みは難しく、かといって、大幅減俸できないベテランも「もう、いらない」の分野に分類するのだ。
「中田の推定年俸は2億8000万円。ポジションも清宮と同じ一塁でだぶります」(前出・同)
しかも、今オフは大谷翔平(23)のポスティングシステムによるメジャーリーグ挑戦も行われるという。大谷の渡米に加えて中田放出となれば、日ハムのオフは激動となる。大谷、中田を同時に失えば、チーム攻撃力のダウンも必至。それでも、中田の放出論が実しやかに囁かれるのは「費用対効果」のチーム方針に尽きるという。
しかし、こんな声も聞かれた。
「清宮を1年目から一軍で、それもレギュラーで使うとは考えにくい。でも、トレード、FA宣言のいずれにしても中田が日ハムを出るのは時間の問題だと思う」(プロ野球解説者)
ドラフトの指名選手に関しては、最終的にフロント幹部が決める。阪神・金本監督のように「どうしても!」で1位指名が変更されたケースもあるが、それは例外中の例外と言っていい。
「栗山(英樹=56)監督は、中田の理解者でもあります。斎藤佑樹に対しても、どんなにファンに非難されても『復活を信じている』との言葉を変えていません。中田の肩たたきはフロントの意思」(前出・ベテラン記者)
フロントの意思といえば、先の事前面談もそうだった。栗山監督はキャスター時代に清宮の父・克幸氏との交流もあり、清宮家の様子も聞かされていた。日ハムが事前面談を辞退したのは「他球団への陽動作戦」だった。「指名しないかも?」と思わせ、「だったら、ウチも他選手の一本釣りを…」と迷わせるためだったという。しかし、克幸氏の性格を知る栗山監督に相談していたら、面談に行っていたはずだ。
「清宮家はウラでコソコソという言動を嫌います。両親とも大学でスポーツ部のキャプテンを務めていますから」(関係者)
事前面談に来なかったことで不信感を持ったとの情報は、今のところ出ていない。たが、大学関係者によれば、「清宮はプロの世界に飛び込むのと同時に、通信制での早大進学も視野にある」という。学業とプロの二刀流か…。清宮の両親は進学を勧めていたとされる。学業との二刀流が本当なら、日ハムスカウトは曖昧な物言いをせず、認めるのかどうかを回答しなければならない。また、中田放出論などチーム編成の話も清宮家側は聞きたくないと思っているはずだ。いっそのこと、栗山監督にご登場いただければ和やかな交渉ができそうだが、その予定はないそうだ。