特別枠、ホームランダービー出場選手は、ともにインターネット投票だが、ファンの気持ちがそのまま現れた結果となった。セの29人目の選手となった阪神・ブラゼルは、圧倒的な人気だ。総得票数7万6498のうち、1人で2万688を獲得。猛虎ファンから「史上最強助っ人のバースの再来」と期待されており、その熱い気持ちが票数に現れたのだろう。
なにしろ、阪神選手の本塁打キングは、日本一になった85年と翌86年のバースが最後だ。以来、25年間、無縁のタイトルになっている。それだけに、猛虎ファンは待望久しいブラゼルのホームランキングを熱望しており、晴れの球宴に送り出すことで、気分良くさせようという思いがあるのだろう。
パの29人目に日本ハム・田中が選ばれたのは、もっかパ・リーグの首位打者ということを考えれば、これまた妥当なファンの選択といえる。最近では02、03年の小笠原(現巨人)、07年の稲葉に続く首位打者獲得を目指す田中にとって、2度目の球宴出場はモチベーションが上がる、格好の刺激剤になるだろう。
ホームラン競争出場者は、福岡ヤフードーム、ハードオフ新潟ともにセ、パ同じメンバーになった。ただパが両球場で1位がオリックス・T-岡田、2位はロッテ・金だったのに、セは福岡で1位に阪神・城島、2位には巨人・阿部が、新潟では逆の順位になっている。阪神ファンだけでなく、古巣のソフトバンクファンも城島に投票したからだろう。
球宴での本塁打競争もブラゼルvs阿部の一騎打ちならさらに盛り上がっただろうが、ファン投票の段階では球宴出場が決まっていないブラゼルには資格なし。だからこそ猛虎ファンが、ソフトバンクファンの支援も得て、お祭りの大好きな城島を球宴の本塁打競争に送り込んだのだろう。ノリの良い城島が何本スタンドインさせるか。さらに、「今年は飛距離が違ってきた」と評論家諸氏を驚かせ、セの激しいホームラン王争いに参戦している巨人・阿部にも注目が集まるだろう。
パ・リーグの2人は新鮮力コンビだ。岡田監督に見出され、入団5年目で頭角を現し、パの本塁打王争いに加わっているオリックス・T-岡田。韓国代表のホームランキングの名に恥じない、一発量産をしているロッテ・金。ペナントレースではソフトバンク・オーティズ、西武・ブラウンを加え、4人で激しいホームランダービー争いをしているが、新しいスターを求めるファン心理が投票にも現れたのだろう。