内容は「ピッチャーは少なくとも3人のバッターと対戦する。もしくはイニングの終了まで投げなければならない」とのこと。簡単な話、“一人一殺”のワンポイント継投ができなくなる訳だ。背景には年々長くなっている試合時間の短縮が上げられているが、それにより野球自体の戦略も変わる可能性が大きく、未だに賛否両論が起こっている。
日本プロ野球と米マイナーリーグでプレーした経験を持ち、今季限りでユニフォームを脱ぐ決意をした中後悠平氏は、自らのピッチングフォームが変則の左腕だったことからも、ワンポイント登板を多く経験している。「1球で流れが変わる重要な役割。一人のバッターだけと全力で真剣勝負しているので、決して長くさせるためにやっていることではない。時間短縮のためなら良くはない」とバッサリ。スワローズの中継ぎとして、現役で活躍している近藤一樹投手は「代打は使えるわけですね。そうなってしまったら、全く新しい中継ぎでのやり方を考えなくては」としながらも、「それに合わせて、向上していかないと」と、現役として更なる創意工夫することの必要性を口にしていた。
ワンポイント禁止が昔からあったならば、古くはライオンズの永射保氏や、カープの清川栄治氏。松井秀喜キラーとして鳴らしたタイガースの遠山奬志氏や、バレンティンが不貞腐れるほどのキラー振りを発揮したベイスターズの加賀繁氏など、一芸に秀でた名ピッチャーは、世に出ていなかった可能性もある。コリジョンルールや、申告敬遠、ビデオ判定など、メジャーリーグで採用された新ルールは、数年後には日本プロ野球に“輸入”されることが多いだけに、気になるところ。采配なども根底から変わる可能性のあるルールだけに、採用には慎重を期していただきたいと切に願う。
写真・取材・文 / 萩原孝弘