「エニタイムフィットネス Presents ベストコーチングアワード」がスポーツメディカルコンプライアンス協会の主催で行われた。同協会は「子どものスポーツ環境を整備し、不必要な暴言、暴力を0にしたい。青少年スポーツ指導者が100%メディカルとコンプライアンスを理解した上で指導にあたってもらいたい」との理念を浸透させる活動を行っている。
今回はアワード内で、プロ野球現役、OB、審判らが集まり、「球数制限だけで十分なのか?もうケガはさせたくない!」をテーマにディスカッションも行った。
ケガを防止するにあたり、「プロ入りして8回、トミージョン手術を3度」経験していると語った館山昌平氏は「プロはストレッチをめちゃめちゃする」ことを明かすと、スワローズで一緒にプレーしていた近藤一樹氏も「どの角度でストレッチするか考え、どこかしら伸ばしている」と同意。館山氏は「プロ入りしたとき、太った先輩などが身体が柔らかかった。(ストレッチに)虚心を持たないとプロではやっていけない」と痛感したという。野球解説者の野村弘樹氏も少年野球の現場で、「子供たちは“123!”と声は大きいが、ストレッチになっていない」と、練習の内容を見直すよう提言していた。
また、指導環境についても言及し、野村氏は「まず指導者が(指導方法を)理解してもらわないと。子供から“30球しか投げない”と言い出すことはできない」と語ると、ロッテマリーンズでコーチを務める大塚明氏も「子供は体幹が弱いので、肘が下がりケガに繋がる。指導者が勉強して投げ方を教えてほしい」と要望。日本プロ野球と米マイナーリーグでプレーした経験を持つ中後悠平氏は「アメリカでは選手の立場が上で、コーチは選手を支える環境。日本も上から目線の指導ではなくなれば、コミュニケーションも上手く取れて、ケガにも気付く」と、指導者の意識革命の必要性を説いた。
その後、「ベストコーチングアワード」を全国計41チームが受賞した。最高ランクのトリプルスターに輝いた13チームの中には、前ベイスターズで現在の少年野球に警鐘を鳴らしたことでも知られる筒香嘉智がOBの「堺ビックボーイズ」も含まれていた。
野球離れが深刻な昨今、「新しい時代にふさわしい指導」を適切に行い、「野球を怪我無く楽しむ」ことに重点を置く取り組みに今後も期待したい。
写真・取材・文 / 萩原孝弘