一場氏がプロ野球人生で手にした年俸・契約金の総額は、過去に報道されただけでも2億円以上。今回自己破産に至った主要因は、2018年に不動産ローンで不正融資が発覚した「スルガ銀行」のあると伝えられているが、ネット上のファンからは「ドラフト1位から破産者に転落するとは思わなかった」、「ローンがあるとはいえ億単位の稼ぎを使い切って破産って相当だぞ」、「唐突にユーチューブ始めたのもこれが理由だったのか」と驚く反応が多数寄せられた。
ただ、過去を振り返ってみると、一場氏と同じく引退後に自己破産に至ってしまった選手は少なからず存在する。
中日(1990-2001)、横浜(2001-2007)、西武(2008)の3球団でプレーした種田仁は、両足を大きく広げた“ガニマタ打法”を武器に2004年から2年連続で打率3割をマーク。2005年のオフには年俸が1億2500万円までアップしたが、現役時代からギャンブルに傾倒していたことがたたり、引退から約7年後の2015年6月に自己破産。なお、破産翌年の2016年11月には、無免許で車を運転し、スピード違反をしたとして逮捕されてもいる。
1978年に起こった「江川事件」の影響で巨人から阪神に移籍したことでも知られる小林繁さん(故人)は、巨人(1973-1978)、阪神(1979-1983)で過ごした現役11年間で通算139勝をマークした当時を代表する名投手。現役引退後は解説者やスポーツキャスターを務めるかたわら、飲食や不動産事業なども手掛けていた。
ただ、バブル景気の崩壊と共にこれらの事業は傾いた。結果、10億ともいわれる莫大な借金を背負うこととなった小林さんは、その後2003年に自己破産に至っている。
自己破産では収まらず、その後凶悪犯罪を犯してしまったのがロッテ(1985-1992)でプロ生活を送った小川博。引退後もコーチとして球団に残っていたが、離婚による慰謝料やギャンブルでふくれ上がった借金を理由に2002年に解雇され、翌2003年に自己破産した。
しかし、自己破産後も複数の消費者金融から金を借りていた小川は、借金苦から2004年11月に強盗殺人事件を起こし同年12月に逮捕。その後無期懲役の判決を受け、2019年現在も服役している。
現役生活を送っている間は、一般人とはかけ離れた大金が手元に入ってくるプロ野球選手。その稼ぎを元に培われた金銭感覚を、引退後に矯正するのは至難の業なのかもしれない。
文 / 柴田雅人