カリスマはクタクタになっていた。判定勝ちした準々決勝ではブアカーオとフルラウンド打ち合い、強烈なローキックを数十発も被弾。続いての準決勝でも2RにKO勝利こそ収めたが、終始キシェンコにローキックで左足をエグられた。
「1試合目(ブアカーオ戦)で自分が蹴ったときにスネが腫れちゃって、もうやめたかったんですよ」。正直、精魂尽き果てていた。それでも「最後の決勝は1Rだけ行けって言われて出ました」。カリスマは闘志を奮い立たせ、決勝戦のリングに向かった。
満身創痍。サワーと闘うことは不可能に近い状態だったが「1R勝負でやろうと思った」というように、のっけから猛ラッシュを仕掛けた。左右のパンチのコンビネーションから渾身のアッパーカット。サワーを後ずさりさせた。だが、2R終盤にローキックを受けてよろめくと、もう限界。3R前にセコンドからタオルが投入され、無念のTKO負けとなった。
決してスタミナ切れで負けたのではない。むしろ今大会に向けコンディションはこれまで最高の状態にあった。秋合宿ではビリー・ブランクスもびっくりの軽快なフットワークで山道を爆走し、大会直前には動体視力を上げるためなのか、まつげにまで気を配る気合の入れよう。まさに盤石の状態で臨んだが、結果はあと一歩のところで王座奪還ならなかった。
それだけに魔裟斗は負けて黙っているワケにはいかなかった。試合後にはすぐさま「オレが元気になったら大みそかにアンディと決着つけられたらいい」と再戦要求。さらには「谷川さんに『大みそか出る』って約束しちゃったし」とし、これに谷川EPも「それには応えたいですね」とGOサインを出した。
大みそか「Dynamite!!」でサワーとのリベンジマッチが濃厚となった魔裟斗だが、この一戦にはMAXを揺るがしかねない大きな危険を伴うという。TBS関係者が警鐘を鳴らす。
「魔裟斗選手がサワーに昨年6月の準決勝と今回決勝の2連敗していることを考えると、本当はまだやらせたくない。だって万が一3連敗してしまえば、引退とかってなりかねないでしょう。そんなのMAX存亡にかかわる一大事ですよ」
サワーとのリベンジマッチに臨む公算が高まった魔裟斗。すべてはカリスマのコンディションの回復次第だが、果たしてMAX不動のエースは大きなリスクを払ってまで「Dynamite!!」でリベンジ戦に挑む必要があるのだろうか。
魔裟斗の“赤い連勝記録”がストップした。2002年以降「K-1MAX」「世界王者対抗戦」「Dynamite!!」で魔裟斗が赤いトランクスを履いて試合に臨んだのは過去7試合。その全ての試合で勝利を収めていた。この日の「世界一決定トーナメント」にも赤いトランクスで臨み、準々決勝、準決勝と連勝記録を「9」まで伸ばしたが、決勝戦ではサワーに傷めた右足を攻め込まれて無念のTKO負け。ついにその記録は止まった。