日本ハムのファンですら、その起用には疑問を感じたようで、開幕は昨季、日本人では18勝(6敗)を挙げたダルビッシュ有(25=現レンジャーズ)に続く、11勝(12敗)をマークした武田勝投手(30)が妥当と考える向きも多かったようだ。
しかし、栗山監督はそんな周囲の雑音を振り切って、昨季わずか6勝(6敗)の斎藤を開幕投手に抜てきした。3月30日の西武との開幕戦(札幌ドーム)では日本ハム打撃陣が初回から爆発し、9得点を弾き出した。大量得点に守られた斎藤は、あれよあれよと1失点で、プロ入り初の完投勝利をマークし、監督の期待に応えた。
残念ながら、開幕戦の観客動員は3万6149人で、昨季開幕戦(昨年4月12日)の3万8968人に及ばなかったが、斎藤人気を大いに示したのがテレビ視聴率だった。開幕戦の道内平均視聴率(札幌テレビ=日本テレビ系列)は、なんと驚異の31.6%。瞬間最高は午後8時50分、斎藤の完投目前の9回1死時点の39.4%だった。この視聴率は道内の球団公式戦中継では過去最高。これまでの最高記録は、斎藤が昨年4月17日の千葉ロッテ戦(札幌ドーム)でプロ初登板した試合で、29.4%(北海道テレビ=テレビ朝日系列)。斎藤は自らの記録を塗り替えることになった。
次回登板予定の4月6日の千葉ロッテ戦はQVCマリンスタジアムでビジターとなるが、次々回の登板予定は13日、札幌ドームでの楽天戦となる。両チームがローテーションを替えなければ、斎藤とマー君こと田中将大との2度目の対決が実現する。昨年9月10日の初対決は楽天のホーム(Kスタ宮城)だったが、今回は札幌ドーム。同試合はHBC(TBS系列)がテレビ放送予定。ライバル対決が実現すれば、さらに最高視聴率更新も期待される。
現段階で人気先行の斎藤だが、実績を残せば、今以上に観客動員、視聴率アップにつながることは間違いない。そうなれば、斎藤をダルビッシュの後継者と目している栗山監督の思惑も実を結ぶことになる。
(落合一郎)