日本ハムの開幕投手はダルビッシュ有(現レンジャース)が5年連続で務めてきた。その代わりとなるのだから、責任は重大。昨季わずか6勝(6敗)の斎藤に、責任を果たせるかどうか疑問は尽きない。
その理由について、栗山監督は「ファイターズが優勝するために、どういう順番で投げてもらうのが、実りの大きな秋になるかを一番に考えてきました。その結果、斎藤に開幕投手を務めてもらうことを決め、本人にも伝えました。迷っていたわけでも悩んでいたわけでもなく、自分がどんな選択をすればいいのかを考えてきました。斎藤の将来も含めてチームのことを考えた結果です。開幕が公式戦初めての采配になるわけで、どのような結果になるかは今の時点で分かりませんが、やってくれるはずだと信じています」とコメントした。
昨季18勝(6敗)のダルビッシュが去った後、その穴埋め補強もしなかった日本ハム。投手陣の戦力ダウンは明らか。その状況下で、斎藤にダルビッシュに代わるスター選手になってほしいという監督の強い願望が見て取れる。ただ、スターになるためには人気プラス実績が必要だ。
単純に人気面だけを考えると、ダルビッシュがいなくなったマイナス要素は大きい。それを少しでも食い止めるためにも、斎藤に“チームの顔”になってもらおうという方針だ。本来、開幕投手の栄誉は実績があってつかむものだが、そんな悠長なことはいってられないようだ。開幕戦(3月30日札幌ドーム=西武戦)のチケットは現時点でも売れ残っており、“斎藤効果”でなんとか満員にしたいところだろう。
「監督は将来も見据えてといった発言をしていますが、斎藤を開幕投手にというのは客寄せパンダ効果以外にありません。開幕投手は常にエース級との対戦で回っていくことになりますが、それはどこかでローテーションの順番を替えれば、回避できることです。シーズンを通して、斎藤をローテの柱にすることはさすがに考えていないでしょう。開幕斎藤で話題づくりをして、そこそこ斎藤が勝ってくれればいいのでしょう」(某スポーツ紙記者)
そうなると、気になるのはチーム成績。昨季パ・リーグ優勝を果たしたソフトバンクに、実に17.5差も付けられての2位だった日本ハム。ソフトバンクは杉内俊哉投手、川崎宗則内野手、デニス・ホールトン投手が抜けて大きく戦力を落としたが、日本ハムもエースの離脱は大きい。ダルビッシュがいても、昨季72勝65敗7分けで貯金7しかできなかった。優勝、Aクラス争いに不安も残る。
「今季は『ダルビッシュがいなくなったから』という言い訳ができますから、成績不振も織り込み済みなのでは? それよりも、観客動員を落とさないかどうかが重要と考えているフシがあります。Aクラスに入って、CS(クライマックスシリーズ)に行ければ御の字と思っているのではないでしょうか?」(前出スポーツ紙記者)
今季の優勝を是が非でも狙っていくのなら、斎藤開幕はないのではなかろうか。栗山監督が考えるのは、あくまでも将来の日本ハム像のようである。
(落合一郎)