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NON STYLE 井上裕介が伝えたいポジティヴ・シンキング

 「ついこの前ですよ。大阪の街を歩いてたら、3、4歳ぐらいの子にいきなりキックされて、『ベロベロベ〜』って、走って逃げられました。『やったな〜!』言うて、追いかけましたけど」。

 NON STYLEの井上裕介。彼を取り巻く「キモい」、「生理的に無理」、「ナルシスト」といったネガティブな言語は、時に無礼な行動となって、その小さい身体を痛撃する。それでも井上は、笑っている。「悪がいないと、善は輝きませんからね」と、ポジティブに笑っている。

 26日に発売された初のソロ単行本『スーパー・ポジティヴ・シンキング 〜日本一嫌われてる芸能人が笑顔でいる理由〜』(ヨシモトブックス)で井上は、笑うことができる理由を、今まで語ることがなかった幼少期の孤独感とともに、わかりやすく綴っている。この“わかりやすく”が、本著のキーワードだ。

 「最初は20代、30代の男性に向けた本で…っていわれたんですけど、断固として拒否しました。芸人らしさを入れたかったし、小学生が読んでもわかる本にしたかったから。全世代が理解できなくても、たとえば10代の女の子なら、この10ページだけはめっちゃわかる! と、そういう本がいいんで」

 井上を作動させているのは、単純にして明快ななにか。それは戦略的と思われがちだが、じつに容易な二者択一だ。

 「笑うか泣くか、どっちかしかないんやったら、笑ってるほうが楽しい。仕事があるかないかのどっちかやったら、あるほうが楽しい。じゃあ、“ある”にするためには、どうすればいいか。人気者はたくさんいるけど、嫌われ者は出ていない。だったら、そっちに進もうと、自分が幸せになる小さな二択を選んだだけです」

 「悪口の独占企業」と笑い飛ばせるのは、鉄の心臓の持ち主だからではない。成長していく過程で身につけた、生き残るための術である。路上漫才で辛酸をなめ、『M-1グランプリ2008』で悲願の優勝をはたすも、脚光を浴びたのは、敗者復活戦から準優勝に食いこんだオードリーだったという現実を目の当たりにして、逆境をバネに、イジリをエサに、悪口を活力に変換して見せたのだ。

 「相方(石田明)のように、“スーパー・ネガティヴ・シンキング”な人間には、理解できない本です(笑)。でも、明日もう1日いいことがあるかもしれないと思って過ごしていけば、1年、2年はがんばれるし、考え方ひとつで人生はいくらでも楽しくなる。その人生を送るには、信頼できる仲間が必要なんだよと、そんなメッセージが伝わればいいなぁと思います」

 読了すると、「井上が嫌い!」と断言できなくなってしまった自分と対面できる。そんな可能性も秘めた、1冊だ。 (伊藤雅奈子)

【プロフィール】井上裕介(いのうえ・ゆうすけ) 1980年3月1日生まれ、大阪府出身。2000年に石田明とコンビ結成。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。

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