ソウルを中心に興隆を極める「純福音協会」の総本山「スンボグン教会」を訪れた。
この教会は規模が大きいのが有名で、ソウルのマンハッタンと呼ばれるヨイドの国会議事堂の隣に位置する。建物は赤レンガの外壁を持つ巨大なもので礼拝堂を正面に、幼稚園大学などの格棟が並び、国会議事堂を凌ぐ規模を誇っている。
記者が訪れたとき、礼拝堂は閉まっていたが、その前の巨大な十字架のイルミネーションが目をひいた。夜には赤いネオンで十字架が浮かび上がる仕組みになっている。この教会の礼拝堂は8000席の信徒席があり、約80万人の信者を擁する世界最大の教会としてギネスブックに登録されている。日曜日には何回ものミサが開かれ、信者を乗せたバスであふれるそうである。
今日はミサが開かれず礼拝堂は閉まっていて入れないので裏から入ってみた。壁にはこの教会の創設者チョー・ヨンギ氏と断食行完遂者の垂れ幕が貼られていた。その横の入り口から入ると、巨大な下駄箱のようなものが延々と内壁に据え付けられていた。近寄ってみると、それは献金袋の返却棚であった。個人の献金袋に献金日時と金額と認印が押されたもので、おそらく80万人分があると思われた。
この教会では、収入の10%を献金することになっている。平均収入を低く見積もって仮に日本円で10万円としても、10%だから献金総額は月に最低でも80億円入ることになる。おそらく年間では1兆円に上る。想像できない額だが、韓国のパワーを感じる。これを背景に韓国各地や世界に巨大な教会を建て続けるのが純福音教会の特徴だ。
ソウルの人の評価も統一教会の評価は高くないが、純福音協会の存在は親近感をもって捉えられているようだ。
今なお発展を続ける韓国キリスト教だが、その発展の源は日韓併合時代に遡る。キリスト教は反日独立運動に大きな役割を果たした。世界でもあまり例を見ないことだが韓国では独立運動の主体をキリスト教徒が担った。そのため独立後には存在感が高まり、信徒拡大につながった。
若い世代の韓国人や日本人にとって戦争の記憶は遠い昔の出来事になってきている一方で、やはり越えなくてはいけない壁が今だ横たわっているのも現実だ。