TBSは例年通り、午後4時50分からプロ野球ドラフト会議の1位指名を生放送。その後『Nスタ』を放送し、『お母さんありがとう』を始める。その内容は中居正広司会のもと、北海道日本ハムファイターズに指名された吉田輝星投手など、それぞれの家庭環境を紹介する内容。
吉田投手については、八戸学院大学への進学を望む父と、プロ入りを希望する同投手とのやりとりを再現ドラマで紹介。母親の助言などもあり、最終的に進学を望む父が「折れた」様子を紹介した。
また、オリックスに指名された東洋大学・中川圭太選手の話題では、シングルマザーの息子として野球に打ち込む姿を取り上げる。こちらも再現ドラマで、プロ入りまでの様子が紹介された。
これはドラフト指名選手だけにはとどまらない。候補選手だったHONDA鈴鹿・平尾奎太選手も取り上げ、同選手が大阪桐蔭時代に難病を患いながら大学に進み、病気を克服しプロ候補になるまでの様子を放送。
さらに、両親も登場し指名を待ったが、残念ながらその名を呼ばれることはなし。平尾選手は必死に涙をこらえ前を向いていたが、彼にとっては辛い時間だっただろう。なお、番組出演については、「平尾選手の希望」であるということが、母親の口から語られた。
プロに指名されなくとも、難病を克服し社会人野球でプレーすることは素晴らしいことで、「そのようなプレーヤーがいる」ということは同じ病気を持つ人に勇気を与えたと思われるが、指名され喜ぶ人間がほとんどであるドラフト特番でやる必要があったのかについては、意見が分かれるところだ。
TBSのドラフト特番「お母さんありがとう」は2010年から放送されているが、「感動の押し売り」「特番はいいから2位指名以下も放送してほしい」「感動話を探して番組にするのは不愉快」「なぜお父さんにも感謝しないのか」など、 批判的な声が常に存在する。
ただし、一部には「どういう選手かわかる」「感動できるから好き」という声も。また、指名漏れ選手についても「番組を見ることで社会人野球関係者が高校・大学生を採用することがある」「普段あまり日の目を見ない社会人野球選手を知ることができる」などのメリットを口にする声もある。
賛否両論ある『ドラフト特番 お母さんありがとう』。批判もある番組に、プロ指名選手とはいえ、まだ一般人の人間を出演させ感動ショーにすることは「歪」にも見えるが、「好きな人」も確実に存在しているようだ。