海人は11月18日に2年に一度のシュートボクシング(以下SB)の祭典『SHOOT BOXING S-cup 65kg 世界 TOURNAMENT 2018』(両国国技館)で世界の強豪が集まったS-cup‐65kg世界トーナメントに出場。1回戦(対チョ・ギョンジェ)、準決勝(対健太)、決勝戦(対UMA)の3試合でKO勝利し完全優勝を果たすと、今月9日にはキックボクシングイベントKNOCK OUTに初登場。激闘型ファイターである“KNOCK OUTの番人”水落洋祐の勢い、粘りに対応し、3RにTKO勝ちを収めた。
大阪を練習拠点としている海人だが、シュートボクシングへの愛と誇りは強い。今年は7大会に出場し、10試合を行った。これは格闘技の世界としては試合数が多い。RIZIN初出場となった7.29『RIZIN.11』さいたまスーパーアリーナ大会から、8.12『RIZIN.12』愛知県体育館大会までは、2週間しかなかったが、しっかりと連勝。「シュートボクシングここにあり」をエースとして証明している。
KNOCK OUTで対戦した水落は「うまかったです。でも必ずリベンジします」と完敗を認めた。“Mr.KNOCK OUT”こと前KING OF KNOCK OUTライト級王者の森井洋介もこの試合を見ていたいい「海人選手は肘を当てるテクニックがすごい。しっかりと戦略を練らないと肘ありのルールでは勝てない」と解説していた。
KNOCK OUTは昨年ライト級、今年はスーパーライト級のトーナメントを開催しており、海人と同じ、もしくはそれに近い階級の選手が数多く参戦している。現スーパーライト級王者の不可思には、今年4月にSBのリングでTKO勝ちを記録している。普段は負けても「同じ相手とはやりたいと思わない」と話す不可思だが、もう一度やりたい相手として海人の名前を挙げている。この1年の活躍で、海人を取り巻く包囲網ができつつあるのは確かなようだ。
KNOCK OUTの小野寺力プロデューサーも「これから海人クンがどんな相手と、どういう試合をしてくれるのか楽しみ」と期待を寄せている。ただ、海人本人はその前に「まだ倒さなアカン選手がいる」という。その選手とは昨年敗れたザカリア・ゾウガリーと、今年唯一の黒星を与えたチャムアトーン・ファイタームエタイである。特にチャムアトーン戦は「今年は全勝すると思ってたので悔しい」という。「来年は2人にリベンジして、世界のトップに立ちたい。他の選手のことはその後に(頭の中に)出てくるんじゃないですかね」。今年最後の試合を終えた海人は安堵の表情を浮かべながら、早くも来年の目標を掲げていた。
「これが立ち技最強のシュートボクシングです!」
21歳の若さエースは来年も歩みを止めることなく、こう叫び続けるはず。急成長を遂げた2018年の海人には、来年さらに進化した姿を見せてもらいたい。
取材・文・写真 / どら増田