昨年、突如として引っ張りだこになったTRFのDJ KOO。彼のおもしろ要素は、中居によって発掘された。じょう舌ではないが、金髪で長髪、ド派手な衣装に、おもちゃのようなサングラスをかけるという離れ業を、53歳でやってのけるKOO。元祖ダンスグループとは相反する、イジラレキャラを確立させたのは、バラエティ番組で中居から、何を振られても、ヒットソングの「EZ DO DANCE!」と叫ぶよう仕向けられたからだ。
結果的に功奏し、それまで業界人が密かに抱いていた“ミュージシャンをイジってはいけない”法則を打破。KOOみずからも、どんどん笑いを生みだすほうに転んでいった。
浮気相手との不祥事が明るみになったことで、謹慎を食らっていたアンタッチャブルの柴田英嗣。休業中も、“M-1”王者の名に恥じない話術を高く評価する仲間は多かった。復帰後はそれを証明すべく、司会にラジオパーソナリティー、フリートーク、ひな壇など、すべてをオールマイティーにこなした。
そんな柴田と共演するたびに、女性関連のイジりを加え、MCのポジションで自由にやらせたのは、中居。『ナカイの窓』(日本テレビ系)で見せる柴田の自由奔放さと、それに裏打ちされた的確さは他の追従を許さない。見事なまで蘇生した、足掛かり的な番組だ。
昨年、坂上忍と並んで大忙しとなった、ヒロミ。B21スペシャルで80年代お笑いブームをけん引したが、実業家に転身後、表舞台から消えた。しかし、『さんまのまんま』(関西テレビ)出演時に見せた巧みな話術に着眼した中居は、「そんなにおもしろいのに、なんでテレビに出ないんですか?」と連絡。以降、声がかかった番組にフラリと出るというスタンスでいると、いつのまにか超売れっ子に。今では、坂上忍、有吉弘行と並んで、テレビ局が起用したいタレントになった。
中居は、自分の番組のキャスティングに関与することは、決してない。ブッキングされたタレントに、好き・嫌いの感情を働かせることもない。しかし、おいしくしてあげたいというサービス精神だけは旺盛だ。結果としてそれが、タレント再生工場としての役割をはたしている。“ナカイの目”は、本物なのだ。