問題となっているのは、セ・リーグの二塁手部門。発表前、ネット上では試合数(142試合)、刺殺数(297個)、補殺数(417個)、併殺数(84個)の3項目でリーグトップの数字を記録したヤクルト・山田哲人、もしくは守備率(.995)、失策数(3個)、UZR(10.7、同じ守備位置を守る平均的な選手に比べどれだけ失点を防いだかを表す指標)の3項目がリーグで最も良い数字だった中日・阿部寿樹のどちらかが受賞すると見る向きが強かった。
しかし、記者投票で1位に選出されたのは前述の2名ではなく、守備率(.985)、失策数(10個)の2項目が規定試合数を満たした二塁手のうち、最も悪い数字だった広島・菊池涼介。なお、得票数(総投票数299票)は菊池の180票に対し山田が90票、阿部に至ってはわずか19票だった。
菊池は昨年までに6回(6年連続)同賞を受賞した守備の名手だが、7回連続7回目の受賞となった今回の一件にネット上のファンからは「人選がおかしい、今年はどう考えても菊池より山田・阿部の方がふさわしいのでは」、「6年連続受賞っていう実績に引っ張られすぎだろ。1年(ごとの数字)で考えてほしい」、「知名度や印象でしか選べない奴は記者辞めちまえ」といった批判が殺到。
同時に、「遊び半分で投票する記者がいるのも全部匿名制度のせい」、「無記名投票なんてアホみたいな制度は一刻も早く改めるべき」、「そもそも記者に決めさせる必要はない気がする」と、現行制度の変更を訴える声も数多く挙がっている。
「GG賞に投票する記者の中には当該シーズンで数字を残した選手よりも、今回の菊池のように前年までの実績が豊富な選手に優先して票を投じるような、固定観念の強い記者が少なくありません。ただ、記者投票は匿名で行われるためどのような記者が投じたかは分からない上、投票理由の説明も義務付けられてはいません」(野球ライター)
「そのため、より公正な選出方法として実名・所属媒体・投票理由の公表を義務付けるべきと考えているファンは多数。また、オールスターでも用いられている選手間投票の導入や、AIによる選出を望むファンも一定数存在しています」(同)
多くのファンに「NO」を突き付けられているGG賞の現行制度だが、今後変更されることはあるのだろうか。
文 / 柴田雅人