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平穏無事を祈願するなら、大船の観音様

 初詣は、神様や仏様へのごあいさつ。三が日か、松飾りのある期間が一般的だが、決まりがあるわけではない。氏神様や菩提寺への参詣を終えた人が、旧正月(今年は2月3日)までを一つの目安とし、ご利益や開運を求めて神社仏閣を巡ることも多い。

 東京都心の入り口である品川駅からJR東海道本線に乗り、40分弱の場所に大船駅がある。電車が大船駅のホームに近づくと、山の上に巨大な観音様の姿が見える。高さ25メートルの「大船観音(白衣観音)像」である。

 「大船観音像」建立の発端は、昭和金融恐慌が始まった1927年(昭和2年)までさかのぼる。第一次世界大戦後の不況のなか、有志による建立の呼びかけが始まった。1929年(昭和4年)に工事着手となったが、同年、ニューヨークのウォール街で株価が暴落。世界恐慌の嵐が吹き荒れ、1934年(昭和9年)には、輪郭が完成した状態のまま工事が中断。

 その後、20年以上も放置される。1960年(昭和35年)、ようやく現在の「大船観音像」が完成した。

 「大船観音像」への行き方は、JR大船駅から出て、橋を渡る。参道入り口から勾配の急な道を上がると、山門に着く。

 「大船観音像」は、観音様の胎内に入ることができる。そこで、観念様へ願いごとをすることも可能。また、建立工事の様子がパネルで展示されている。工事が中断し放置された観音様は、無味乾燥な表情で、工事の途中だからかもしれないが、目を閉じているように見える。

 また、山門では、「大船観音最中」が販売されていた。案内所の人に聞いてみると、山門の案内所と、大船仲通りにある和菓子店「龍月」でしか買うことができない特製。白玉入りで、大船の観音様に参詣する多くの人が、観音様の前にある休憩所で腰を下ろし、「大船観音最中」を食べていくそうだ。

 大船仲通りでは、ひしめきあう商店のあちこちから、「特売」「いらっしゃい」の呼び声が響いていた。道順や観音様のことを尋ねると、みな、親切に教えてくれた。どこか懐かしさが漂う街の空気にも、ほっとする。

 人々の平穏無事を祈願して建てられた観音様。都心からも日帰りで参詣することができる。(竹内みちまろ)

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