ラミレス監督より、開幕投手の決定権を与えられた三浦大輔ピッチングコーチの口から「2019年の開幕投手は今永昇太」と発表され、今永昇太が登場。観衆からは期待の大きな歓声が挙がった。
昨年4勝11敗、防御率6.80と散々たる成績に終わった今永は、2016年の良かったときのフォームに立ち返り、テークバックの際にバッターからボールを持った手が見えないように、身体に近づけるフォームに戻すなど、復活に向けた取り組みを行った。
オフに参戦したオーストラリアリーグでは、6試合で4勝無敗、防御率0.51、奪三振57と、地元紙に”アンタッチャブル”と称されるなど、圧巻のピッチングを披露。実戦の中で感覚を掴むと、オープン戦や侍ジャパンでも好投を続け、4年目で初の大役を任されることとなった。
今永は昨年のこの時期、左肩のケガにより開幕に間に合わなかったことで、昨年の開幕投手、石田健大と、昨年のドラフト1位左腕、東克樹らが投手陣を引っ張った。しかし、今年はその二人が共に左肘の故障で、開幕に間に合わないことについて、「今年は彼らが帰って来た時に、チームがベストなポジションに」と口にした。
開幕投手に指名されたことにより、「今までは自分のことばかりで精一杯。余裕がなかった」と語るが、今年は開幕投手を任される立場、イコール“エース”ということで、「これからはチームのことを一番に」とマインドにも変化が生まれ、「若手にも声をかけていきたい」と自覚も芽生えてきたようだ。
今週金曜日、29日に迫った本拠地横浜スタジアムでのドラゴンズとの開幕戦。総じてベイスターズの開幕戦は分が悪く、DeNA体制になってからでも、ケガで離脱した山口俊の代役を任された井納翔一しか勝っていない。しかし、今年は一度挫折を味わった「投げる哲学者」がいる。出陣式でもファンの前で「勝ちます!」と宣言した“ニュー今永”が今年、不在のエースの座にしっかりと腰を据える。
写真・取材・文 / 萩原孝弘