この頭蓋骨は発見者の少女が亡くなった後、アメリカ人の男性の手元に渡り、1999年よりアメリカの解剖学者ロイド・パイ氏のもとで研究されることになった。その結果、この頭蓋骨は900年以上前の5〜6歳ほどの男児のものであること、大きさに比べて異様に軽く脆い骨であること、脳の容積が1600ccと成人の平均容積よりも大きい(成人の脳の平均容積は1400cc)ことなどがわかった。なお、もしこのままこの男児が成長していたならば、成人時には脳の容積は1800〜2000ccに達するとみられている。
なお、2004年に行われたDNA調査の結果、この男児はともに出土した女性と親子関係にあったことが判明している。しかし、男親の方のDNAは判別出来なかったという。
この頭蓋骨が発掘された地域には天から来た人物と現地の女性の間に子どもが生まれるという伝説もあり、パイ博士はこの子どもは正に伝説の星から来た子ども、宇宙人と地球人のハイブリッド「スターチャイルド」であると結論づけたのである。
当然ながら「スターチャイルド」が本当に宇宙人とのハーフの子どもであるかについては異論が出ているのも事実である。一番有力な説は水頭症に近い奇形児が生まれた後、成長に合わせてその頭蓋を布で絞めるなどしてより変形させる「頭蓋変形」を行ったものではないかとするものだ。実際、中南米では古来より特別な地位の人物が小さい頃から頭骨を変形させるという文化があった。また、この頭骨が発見された場所を調査したところ当時の神殿と考えられるため、恐らく奇形として出産された男児を神の遣いとして神聖視し、より意図的に変形させることで象徴的に扱われ死後埋葬されたものではないかと見られている。
しかし、スターチャイルドの頭骨にはまだ不明な点もある。特に一番の謎とされているのが、骨の内部から発見された複数の繊維質の物体だ。この繊維質の物体は全体的に赤みを帯びており、また骨の多孔組織の中に埋め込まれるようにして存在していた。これは通常の人骨では起こりえない事であるとされている。果たしてスターチャイルドの正体は何なのか。いつか彼の正体が明らかになる日は来るのだろうか。
文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所