この写真を見てもらいたい。青い空を優雅に飛行する物体が確認できるだろう。これは、フィリピンで撮影された飛行中の吸血鬼だというのだ。撮影者はこの生物を、獲物を求めて飛行する「アスワング」であると声高に断言している。
アスワングとは、フィリピンに伝わる女吸血鬼の一種である。昼間は美しい女性の姿をしているのだが、夜間は空を飛行する化け物へと変化し、人間の生き血をすするのだという。アスワングの血のすすり方は非常に奇怪である。標的のいる家の前に来ると、空中に停止し家のすき間に、蛇よりも長い舌を差し入れて、ターゲットとなった人間の血を吸うのだ。食事後のアスワングは妊婦のように大きく腹が膨れているそうだ。またアスワングに影を舐められたものは、死亡するとも伝えられている。
ちなみにフィリピンの人々はアスワングの存在を強く信じている。それにはいくつかの遠因がある。まず1つ目は、フィリピンには巨大なコウモリが数十種類ほど存在しているという点である。現に人間の顔よりも大きなコウモリは写真に収められているのだ。これらの巨大コウモリが吸血鬼のモデルになった可能性は高い。
さらに、2つ目はフィリピンでは伝染病が多いという点である。一般的に吸血鬼とは、何らかの方法により血を吸い、人間を殺すといわれている。それ以外に人を病気にしたり、家畜を殺すなどの悪行を行うと伝えられている。つまり、伝染病を運んでくるのは病原菌ではなく、吸血鬼が伝染病の媒体であり、アスワングの仕業であると信じられているのだ。
吸血鬼やモンスターは、病気という目に見えない脅威が具現化した可能性が高い。現在、地球には大きな不安が充満している。人類が滅亡するという2012年問題、さらには各地でヒステリックなパンデミックを巻き起こしている新型インフルエンザ。このどれもが21世紀の新たなるモンスターになりうるのだ。
昨今、未確認生物(UMA)や未確認飛行物体(UFO)が数多く目撃されたり映像に納められているのも、人類の不安が具現化する怪現象ではないかとの説もある。21世紀は魔女やモンスター、エイリアンに吸血鬼などの今まで伝説上の人物であったマモノたちが姿を現す時代になってゆくのかもしれない。
◎巨大な“化け物犬”の姿で農村の少年ら襲った例も
かつてフィリピンのニュースサイトで流された話。2004年9月22日のこと。フィリピン南部で農家の息子・タタ・ポラス(16)は2歳年下の弟と、田んぼ横の作業小屋に泊り込んでいた。田んぼで飼っているアヒルを襲う動物をこらしめるためである。
夜になると、「キキキー」という奇怪音が聞こえてきた。その音を聞き、外に飛び出したタタ少年に、巨大な犬が襲いかかった。この巨大な化け物犬こそ、吸血鬼「アスワング」だと思った彼は、すかさずライフル銃をぶちかました。だが、アスワングとおぼしき犬のような怪物は逃走、弟も流れ弾を受けて病院に担ぎ込まれたという。