−−昨年、漫才スタイルを変えた理由を教えてください。
高松「飲み会の篠宮を見てたら、芸人がめっちゃ笑ってるんですよ。本人も無理してない感じやったから、これを漫才にしたらおもろいんちゃうかと、ふんわり思って。それまで、賞レースで結果を残せないっていうトラウマがあったけど、でも、芸人にはウケてる。だったら、お客さんとか審査員ではなく、芸人が笑うネタにしようと、篠宮に相談して」
篠宮「嫌やった、飲み会でできんようになるから(笑)。飲み会をいちばん楽しいものにしてたんで、それをネタに入れたらサブなるわぁ、みたいなのがあった」
−−“すべ・りんぞう”が誕生したのも、飲みの席で?
篠宮「違います。あれは、何を言われても名前で返しますみたいなことを、おととしにやってて。客前では、キンキンにすべったんですけど(笑)。で、よゐこさんの単独ライブのあとに、呼ばれもせんのに打ち上げに行って、『どうも、関係ないのに来ました“盛り上げ兵”です』っ言うて、盛り上げてたんですよ。そしたら、鈴木おさむ(放送作家)さんが、『あなた、ほんとは誰ですか?』って聞いてきて、『すべ・りんぞうです』って咄嗟に返したのが、最初。そっから、はまぐちコントサークル(※1)で、ちょくちょくやってたんです」
−−相方だけが目立つのは、複雑ではないかと…。
高松「これでいいんです。去年の『THE MANZAI』用に作ったネタも、オジンオズボーンじゃなく、篠宮暁の名刺になればいいと思ってますから。なんでそうなったかというと、まじめな話になってしまうんですけど…。2011年に、もう(芸人として)無理かなぁと思ったんですね。10年以上もやって、仮にこのまま芸人を辞めたら、この十数年が無駄すぎるやろうって。最悪ね、篠宮暁という名前だけでも残れば、『あ〜、元オジンオズボーンのね』って言われる。だったら、篠宮だけでも出さないとって、切り替えたんです。篠宮って、自分のおもしろさ、そのコントロールをまだわかってない。もっとアホやし、もっとおかしな子ですから、テキスト通りに『すべ・りんぞうです』って返してるのを見たら、もっと誰も想像できないところに飛んでいってくれよって思う」
篠宮「いや、もう何も残ってへんで。カラッカラや」
−−最後に、今後の目標を聞かせてください。
高松「子どものころから見てた番組や、芸人が出たがってる番組に出たいですね。あと、お父さんが好きなんで、『いい旅夢気分』(テレビ東京系)にも。今年の『THE MANZAI』はプレッシャーもあるけど、認定漫才師の50組には残っていたいかな、せめて」
篠宮「キンタロー。に仕事をもらう、ですね。あっ、もらわなくていいです、バーターで(笑)。『THE MANZAI』では、決勝で2本(ネタを)やりたいですね。…って、こんなこと言うときは、決勝に残れない」
(※1)よゐこ・濱口優が御旗を掲げるコント集団。芸人みずからが台本を書き、採用された者だけが東京・新宿角座で実施されるライブに出演できる。
【プロフィール】篠宮暁(左) ‘83年2月生まれ、京都府出身。高松新一 ‘80年11月生まれ、千葉県出身。松竹芸能所属。1999年結成。2月27日に最新ベストネタDVD『漫才 する彦やる蔵』が、ContentsLeagueから発売。定価3,000円(税込み)。
篠宮のブログ http://yaplog.jp/shinomiya/
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松竹芸能の公式サイト http://www.shochikugeino.co.jp/
(この連載の次回更新は、3月最終週)