問題となったのは、「4-3」と西武1点リードで迎えた8回表。先発・ニール、2番手・小川龍也とつないできた辻監督は、この回3番手として平井克典を起用。今シーズンパ・リーグ新記録となる81試合に登板し、「5勝4敗36ホールド・防御率3.50」をマークした中継ぎエースにマウンドを託した。
しかし、平井は先頭の今宮健太こそ遊ゴロに打ち取るものの、後続の柳田悠岐、デスパイネに連打を浴び1死一、三塁のピンチが到来。これを見た辻監督は急遽平井を降板させるも、時すでに遅く2点を奪われ逃げ切りに失敗。そのまま試合にも敗れてしまった。
不満そうな顔を浮かべながら降板した平井に、ネット上のファンからは「そんだけポンポン打たれたら代えられるに決まってるだろ」、「敗戦のきっかけ作った投手に不満顔になる資格はない」、「雰囲気に悪影響が出るからふてくされるのはやめろ」といった声が多数。
しかし、それ以上に「勝てる試合だったのに辻の平井起用が全てを台無しにした」、「今の平井を勝負所で起用するのは愚策でしかない」、「途中で焦って代えるぐらいなら最初から出すなよ」、「こんな雑な使い方されてる平井もかわいそうだ」と辻監督を批判する声が噴出している。
ファンから不満が出たのは、シーズン中に平井を酷使し続けたことが一因と推測される。開幕からフル稼働し優勝に大きく貢献した平井だが、勤続疲労による影響からか後半戦は7月(3.55)、8月(4.02)と防御率が悪化し続け、9月に至っては「9.31」。コンディションが万全でないことは明らかだっただけに、「固執して起用する必要はなかったのでは?」と見る向きは強い。
また、今回の試合を巡っては、9回表の継投策も批判の的となっている。辻監督はこの回榎田大樹の名前をコールしたが、榎田は今シーズン「13試合・4勝3敗・6.52」と振るわず、さらにシーズン中は一度も中継ぎとして登板していない投手。増田達至、ヒース、佐野泰雄といった本職の中継ぎ投手たちを差し置いての榎田起用だったが、結果3失点とこの采配は失敗に終わっている。
敗退した昨年と同じく、今年もCSファイナルの初戦を落とした西武。アドバンテージの1勝があるためまだ勝敗的には五分の状況だが、辻監督の采配に変化がなければ、第2戦以降も連日苦戦をしいられることになるかもしれない。
文 / 柴田雅人