彼らと同じくノーマークでインパクトを残したのは、決勝10組中(敗者復活含む)9組が吉本興業所属の中、唯一のサンミュージック所属の芸人ぺこぱだろう。顔に化粧をして髪の毛を振り乱すツッコミの松陰寺太勇と何を考えているのか分からないぶっ飛んだキャラクターのシュウペイからなるコンビ。彼らの特徴は松陰寺の肯定ツッコミである。シュウペイのボケに対して、松陰寺が「……とは言い切れない」などと、どんどん肯定して笑いを誘う。彼らのネタを審査したダウンタウン・松本人志も「ノリ突っ込まないボケという新しいジャンルを切り開いた」と評価した。
「ネットでも、彼のポジティブなツッコミワードに多くの反応がありました。彼はシュウペイを叩くことも怒ることもしません。誰も傷つけない漫才を行い、視聴者の好感度も高まったようです。キャラ芸人は寿命が短いと言いますが、それは実力が備わっていないのにキャラに手を出してしまったから。彼らは10年以上の芸歴がありますし、特に松陰寺は平場でも抜群の返しができていた。もちろんこれから苦しむことはありそうですが、腕のいいテレビマンが彼の説明書を作ってくれるでしょうから、これからが楽しみな逸材ではあります」(芸能ライター)
また、ぺこぱはオードリーと似ている点があると識者は語る。
「このまま『M-1』がきっかけでブレイクすれば、オードリー(若林正恭、春日俊彰)と同じ道を歩むかもしれません。実は過去、松陰寺はベーシックな漫才をしていました。ボケに回って着物を着たり、ローラシューズを入たりと紆余曲折を経て今に落ち着きました。オードリーも、春日がもともとツッコミで、王道漫才をしていた時期もあります。そのほか、改名(オードリーはナイスミドル、ぺこぱは先輩×後輩というコンビ名だった)の点、『おもしろ荘』(日本テレビ系)出身の点など、キャラ芸人として共通点が多いんです。さすがに努力しないと今のオードリーのポジションを掴むことは難しいですが、彼らが2009年にブレイクした時のような露出は見込めるかもしれません」(同上)
初出場が多いにも関わらず、史上最もレベルが高かったといわれる同大会。『M-1』ドリームを掴む芸人は、ミルクボーイのほかにもたくさんいることだろう。今後のぺこぱの活躍に期待したい。