すでに決勝進出を決めているコンビの中には、かまいたち、見取り図のように2年連続の強者がいる。しかしその一方で、今年はミルクボーイ、オズワルド、ぺこぱ、からし蓮根、すゑひろがりずのように、全国的知名度が低すぎるフレッシュな面々が目立つ。アルバイトなしで生活できない芸人が大半だ。
そんな中、芸人が起こした奇跡によって今、色めき立っている有名企業がある。『サンケイスポーツ』編集局だ。吉本興業所属のすゑひろがりずのツッコミ担当・南條庄助が、同編集局運動部でバイトしているからだ。
「すゑひろがりずは、和服姿で能や狂言といった伝統芸能を取り入れた漫才スタイル。南條さん、相方の三島達矢さんはともに芸歴14年で、そろって37歳で既婚者。アラフォーになっても売れる気配ゼロだっただけに、今回の決勝初進出は奇跡に近いです。いまだ下積み生活から脱出できず、南條さんは家族を養うため、サンスポ編集局で新聞の切り抜き作業、編集補助といった仕事で安定収入を得ているのです」(夕刊紙の取材記者)
ツッコミアイテムである小鼓を叩いて、「よ〜っ!」と雄叫びを上げるのが、すゑひろがりずの笑いのポイント。有名スポーツ新聞の編集補助から初のM-1王者誕生なるか、期待は高まる。
同編集局ではかつて、同じ吉本の先輩芸人・シソンヌのじろうも運動部でバイトしていた。当時からコントに定評があった長谷川忍&じろうだが、「キングオブコント2014」を制して一気にスターダムにのし上がった。じろうが働いていたのは、KOCを制するおよそ3年前までだ。
今では、単独ライブのチケットが入手困難のコント師になった。優勝以降は仕事の幅がグンと広がり、そろって俳優、脚本家、ステージプランナー、作詞など、多岐にわたって活動中。じろうは今年10月期、日本テレビ系深夜のワンシチュエーションコメディドラマ「寝ないの?小山内三兄弟」の脚本を担当していた。
シソンヌがコントの頂点に立った14年、すゑひろがりずは意を決して地元・大阪から拠点を東京に移した。KOCには自己最高となる準決勝進出まで決めたが、以降、テレビ露出に恵まれなかった。
シソンヌが敷いた、スポーツ新聞社バイトからの勝利への道。二番煎じなるか。22日の夜が待ち遠しい。
(伊藤由華)