松本は「ちょっと言いたい」と切り出し、「被害に遭った子供、いちいちフルネームでニュースで言う必要はないんじゃないかと思うし、告別式とかにもカメラが若干遠巻きで撮ってましたけど、それニュースでやるかなあって。親御さんがどう思ってらっしゃるか知らないですけど、僕ならやってほしくない」と指摘。
そして、「告別式に参加した人に話を聞いたりとか、それはもうちょっと『止めないか?』って言う気は…不愉快ですね」とメディアの報道姿勢について苦言を呈す。
この件について話を振られた、元NHKの登坂淳一アナウンサーは「被害に遭われた方で亡くなったというときにお名前も伝えるということはありますけど、そこまでやる必要があるのかというのは確かに…」とオブラートに包んだコメント。
松本はこれに対し、「告別式に行くのは意味が違うだろうと思いませんか?」と問題提起する。東野幸治からNHKはこういう議論はしてないのかと問われた登坂アナは「被災された人に聞かないといろんな状況が伝えられない。いつもこのジレンマで、という感じです」とコメント。かなり難しい問題であることを示唆した。
これを聞いた松本は「我々のしょうもない不倫だなんだって話にはせっつくのにさ、こういうことには意外と何も言わなくて、怒りはもっとそういうところにもっとぶつけて、『こういう報道見たくないぞ』ってなんでみんなやらないのかな、と思います」と、視聴者の姿勢についても苦言を呈した。
この提言に、ネットユーザーは「その通りだと思う」と共感。さらに、「芸能界からそういう声があがるのは良いこと」とメディア側からこのような意見が出たことを評価する声も。一方、「声を上げているけど黙殺している」「メディアが無視しているだけ」という指摘もあった。
大阪北部地震の報道では、『報道ステーション』(テレビ朝日系)がブロック塀の倒壊によって亡くなった女児を実名で報じたうえ、同級生に「どういう気持ち?」という趣旨のインタビューを敢行。さらに、現地に駆けつけた富川悠太アナウンサーが被災者の家に上がり込み、「水が出ない」「ガスの復旧に一週間かかる」などと実践レポートし、大顰蹙を買った。
また、登坂アナの古巣であるNHKも、地震発生後、学校の校庭に待機する子供たちを無許可に撮影し、駆けつけた教師陣に静止される一幕も。「報道の自由」を盾に、被災者の感情を無視した取材を続けている。
いずれの番組も、ネット上で猛批判に晒されたが、特に謝罪することもなく、報道を続けている状況。ネット上の画像や動画については『使いたい』『借りたいので連絡を』とユーザーに呼びかけることも多く、ウオッチしているようだが、「批判的な声」に耳を傾ける意識は持ってないようだ。
そのような意味では、今回松本のようなテレビ業界に影響力を持つ人物がその取材方法に「NO」を叩きつけたことは、一定の意義があるだろう。これをきっかけに、ネットだけではなく、実際にTVに出演する側からも行き過ぎた取材に「NO」を突きつける機運が高まり、被災者の感情を無視した報道がなくなっていくことを願いたい。