因縁の溝は深まるばかりだった。
この日の坂田は、久高を相手に苦しんだ。3Rに偶然のバッティングで、右まぶたから出血するアクシデントに見舞われた。逆に6Rにボディーや右アッパーで攻めたて、あわやKO寸前まで追い詰めたが、逃げ回る相手を捕まえることができなかった。それでも判定3-0で退け、4度目の防衛に成功した。
試合後には「このベルトは誰にも渡したくないんで、1回ずつしっかり防衛していきたいと思います」とアピール。さらに次期挑戦者として浮上している内藤との統一戦や、興毅との対戦について「そうですね。興毅ももちろんあります。準備はできています」と迎撃の構えをみせた。
しかし、事態は一変する。興毅がリング上で内藤との対戦を熱望したからだ。
このパフォーマンスで蚊帳の外に追いやられて坂田に、陣営は納得するはずもない。
協栄ジムの金平桂一郎は「非常に不愉快ですね。あのパフォーマンスはいかがなものか。こっちからすれば逃げている」と嫌悪感を露わにした。
無理もない。金平会長は、昨年11月の坂田のV2戦を前に、亀田騒動によって連日テレビ出演を余儀なくされた。不眠不休が続き、一時はグロッキー状態になったこともある、いわば被害者なのだ。
それだけに「内藤選手も含めて、誰が強いか決めればいいんですよ。リング上で雌雄を決しましょうよ。タイトル懸けてもいいし。はっきり言って目ざわり」と亀田陣営にケンカ状を叩きつけた。
興毅の乱入で再び遺恨が再燃しそうな坂田陣営と亀田。今後の展開が注目される。