<本紙・竹内の最終決断>
東北は山崎芳〜伏見俊、佐藤友〜有坂直と2つのラインに分かれたが、東北勢VS小嶋敬の図式は変わらない。直前の花月園記念(GIII)、熊本・全日本選抜(GI)の実戦の中でグランプリのシミュレーションを重ねてきた山崎と佐藤。同期の2人は“忠義”の別戦でありつぶし合うことは考えにくい。その間げきを小嶋が突いて仕掛けると、前団は激しい踏み合い。ペースはおのずと早くなり、「先行以外はなんでも」の手島慶がまくり、兵藤一にチャンスが生まれる。
そもそもここ3年のグランプリは新チャンピオンが続出。一昨年の加藤慎は12月に全日本選抜を勝ったばかりだったし、3年前の小野俊、昨年の有坂に至っては当時GI未勝利の身だった。これらの結果をひも解けば傾向は明らか。格よりも調子であり勢いが大事。GI未勝利=賞金枠での出場。最後まで気の抜けない賞金争いが、選手にとって程よい緊張感をもたらし、いいテンションを保ったままグランプリへと臨めるのだろう。賞金第6位と9位でGPチケットをもぎ取った兵藤、手島には格好のデータ。群馬コンビが狙いごろ。
「もつれればまくってもいいし、すんなりでもまくっても。(後ろが)来なければまくり追い込みでもいいし(笑)。気持ち的には去年のグランプリよりいいかも」
いかなるシチュエーションにおいてもまくりを約束する手島が、山崎をまくった昨年のグランプリの再現をもくろむ。
「なんの不安もないし万全。あとはやるだけ」と大胆不敵に笑う兵藤の差し切りで3年連続のグランプリ初出場の新チャンピオンが誕生だ。
車単(6)=(4)の2点で勝負する。
<司の見解>
佐藤友のヤングパワーに期待しよう。武田豊、山崎芳らに1年遅れでスターダムに駆け上がった88期の逸材。山崎を上回るダッシュが魅力だ。
今年4回のGI決勝で山崎と3回の同期連係。オールスター、全日本選抜では前回りで持ち味を殺された感がある。4分戦で山崎と別線勝負。十八番のまくりにこだわってもらおう。
大ギアを含めた山崎に対する意識は過剰とも思えるものだ。主導権争いがあればこの2人だろう。
好目標得て連覇もくろむ有坂直は佐藤がまくり勝負なら連結外さない。(2)=(7)ワンツーが3連単の軸。GPには無縁の小嶋を嫌えば山崎とただでは転ばない群馬両者の連対。
<かく戦う>
小嶋敬二 落車も骨折もあったけどいい方に切り替えて、今年はいい一年だったと思う。前半とは別モノなんでわからないけど。復帰2戦目の熊本・全日本選抜で決勝に乗れたし、そのときより上積みはある。勝つために来たんでしっかり結果を出したい。
佐藤友和 茨城に冬期移動してるんで、有坂さんとかとも練習して、いつもどおりの感じです。(山崎と)並んだらどちらかしか獲れないんで、それだったら力勝負した方が面白いかなと。相手が強いから、自分が何をやらなきゃ勝てるか考える。
伏見俊昭 10日に競技の遠征から帰ってきて、それから1日休んで2週間しっかり乗り込んだ、世界のトップと走ったのが身になってると思うし、山崎にすべて任せる。今年はマークなんで、その分リラックスしてる。
手島慶介 今年一番いい状態。80〜90%くらいに戻ってるし、いいレースができると思う。ここ目標に頑張ってきたんでうれしい。後手を踏まないように。脚を使わないでも前の方にいくのがオレの持ち味だしスタイル。3番手以内にいられるように。
飯嶋則之 デキすぎた一年でした。福島勢の後ろの気持ちが強い。切り替えとかできる脚力はないです。(師匠の神山雄には)周回がいつもより長いんで、お客さんの顔でも見て落ち着けって言われました(笑)。
有坂直樹 練習も十分やったし、体のケアもやった。優勝を狙うけど、負けたとしても悔いが残らないように仕上げてきた。動けるのがトモカズ君と山崎君と小嶋君なんで(東北が)分かれた方が、(東北の)だれかが獲れる可能性高いんで。
渡辺晴智 競輪学校で4、5日練習して、バイク誘導で仕上げてきました。できることはやってきたつもりです。今年(小嶋に)つかせてもらったし、強いのもわかってるから迷うことはない。すべて任せます。
山崎芳仁 トモカズとはお互いに力を出し切るのに別線でやった方がいいなって、ボクの場合は引くか行くかなんで。小嶋さんはケガでも仕上がってると思うし。ワンポイントで仕掛けないと勝機はないと思ってる。リラックスはできてる。
(写真=健闘を誓う9戦士(右から)小嶋敬二、佐藤友和、伏見俊昭、手島慶介、飯嶋則之、兵藤一也、有坂直樹、渡辺晴智、山崎芳仁)