まず男女が出会い、恋に落ちます。すると脳からPEA(フェニルエチルアミン)という物質が出てきます。
これは覚醒剤の一種で、文字通り“覚醒”するわけですから、眠れなくなる、ウキウキとする、性欲が高まるなどの興奮作用があります。
また食欲を落とすという作用もあり、いわゆる「恋患い」「恋やつれ」などの症状を出すこともあります。
恋をしてウキウキワクワクドキドキとしている間は、相手の欠点が見えなくなってしまいます。これを心理学では“ピンクレンズ効果”と呼びます。つまりは文字通り「恋に溺れた状態」になるのです。
ただしこのPEFを脳内で分泌し続けるのは、3か月から3年ぐらいまで。それ以上分泌され続けることはないようです。つまり3年くらいで、恋に落ちた頃のウキウキワクワク感はおさまってくるのです。
また他の理由として、もし人間が野生の状態であるとしたら、恋をした男女にはやがて子どもが生まれます。
他の動物なら、生まれてからすぐに歩いたりできるものですが、人間の赤ちゃんは他の動物に比べると未熟児のような状態で生まれてくるため、しばらくの間は母親がつきっ切りになって世話をしなければ、子どもは生きていけません。
この時点で父親が他のメスのほうにいってしまい、母親に食料などを運んでこなくなれば、母親は子どもを捨てて食料を探しに行かねばならず、子どもが生き残る可能性が低くなってしまいます。
そのため、子どもがある程度丈夫になるおよそ3歳くらいになるまで、カップルは愛し合うのではないかという説もあります。
3歳というと、子どもは母親の胎内で1年近く過ごしますから、約4年の間2人は恋の状態になり「4年たてば恋愛は終わる」ということになります。恋愛が終わるということは、パートナーと会っていても以前のようなドキドキワクワクがなくなり、欠点も目についてくるということです。
これらのことから「3年目の浮気」に走る人が出てくるというのです。これは別の遺伝子の持ち主を探しはじめるということでもあります。もちろん、みんなが浮気をするわけではありません。人間とはよく出来ているもので、恋愛が終わった頃になると別の脳内物質が分泌されるようになります。
それがセロトニン。
前述したPEAが覚醒剤の仲間であるとしたら、セロトニンは麻薬の仲間といっていいでしょう。覚醒剤がシャッキリ、ドキドキワクワクとするものだとしたら、麻薬はマッタリウットリとさせてくれるものです。
セロトニンは脳内でも大切な物質で、それが少なくなると不安になり、うつ病になったりします。だからうつ病の治療薬には、セロトニンをコントロールするような成分が入っています。
恋愛が終わり子どもができたカップルはセロトニンが多くなってきます。
セロトニンは【幸福ホルモン】といわれており、家族と過ごすことで幸せになることができます。事実、結婚している人としていない人の「幸せ度」を調査したところ、結婚している人の方が圧倒的に高い結果になっています。
このようにどうやら「3年目の浮気」は、自分の遺伝子をより有利に次世代に運ぶための本能といえそうです。つまり、浮気ばかりしている人は、恋愛のスリルを楽しめる分、家庭や家族という安心を犠牲にしているということにもなるのですね。おもしろいものです。
(巨椋修(おぐらおさむ) 山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou/