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キャバクラ嬢「お持ち帰られ物語」第九夜

 本人はいたって真剣でも、傍から見れば空しい努力に見えることはよくあるが、静岡県某市にあるキャバクラ『B』に在籍しているノリエ嬢は、そんな典型ともいえるアフターを繰り返している。「どうしても東京に行きたいの。いつか絶対、引っ越そうと思ってる」という夢を叶えるためとはいえ、その行動は少々エスカレート気味。同じお店に勤めている女のコによると『東京から来たお客さんと聞くと、すぐにアフターしちゃう』のだとか。まだ20歳と若く、いくらでも方法はありそうなものなのだが、「一応、貯金もしてるけど、もし『ウチに来てもいいよ』って言ってくれる人がいたら、すぐに上京できるでしょ」と、その行動理念は極めて短絡。引っ越しというよりは、就職活動、あるいは婚活に近いような有り様なのだ。

 つまり、彼女がアフターに応じる条件は、東京から仕事などで来た一見の客、ということになる。常連客にとっては面白くないだろうが、たまたま立ち寄った東京の客にとっては非常にラッキーな話。「アフターっていっても、食事だけの人とかのが多いんですよ。脈がありそうなときだけ、勝負しちゃいますけど(笑)」一体、どんな人なら脈があるのかよくわからないが、彼女なりの判断基準はあるらしく、いけそうと思えば、相手の滞在先に泊まりに行くことも厭わないらしい。では、 そんなノリエちゃんの上京活動はうまくいっているのかというと、「うまくいってたら、もう東京に行ってるよ〜。この人ならいいなとか、いけそうかなって思う人はいたけど」といった具合で、今のところは不発。ちなみに、いけそうと思ったけどダメだった人という話を具体的に聞いてみたところ、「結局、奥さんとか彼女がいたりして、一緒に住めないとかね」と、とても残念そうに話す。どう見ても、上京をエサに遊ばれただけとしか思えないのだが、真剣に語ってくれた彼女に対して、 最後までそのことは言えなかった。

 代わりに、寮完備のお店に体験入店をしてみてはどうか、と提案してみたところ、「それも考えてるけど、東京行くのに交通費かかるでしょ、今あんまりお金ないし」ついさっき、『一応、貯金もしている』 と聞いたはずだが、空耳だったのだろうか。彼女と東京のお店で再会できる日は、まだずいぶん先の話になりそうだ。

*写真は本文とは関係ありません

【記事提供】キャフー http://www.kyahoo.jp/

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