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旅客機を撃墜したのはテロリスト? 空軍機? それともUFO? イタビア航空870便の謎「1」

 モスクワオリンピックのボイコット問題で世界が揺れていた1980年6月27日の午後9時少し前(現地時間)、イタリアのボローニャからシシリー島のパレルモへ向かって飛行していたイタビア航空870便が、地中海のウスティカ島近海で消息を絶った。イタリア空軍は2機の戦闘機を緊急発進させたが、残念ながらイタビア航空機が海へ墜落していることを確認したのみであった。また、既に日が没していた上に現場上空は視界が悪く、生存者などは発見できなかった。

 イタビア航空機には乗客乗員合わせて81名が登場していたものの、空軍機の報告により全員が絶望視され、翌朝までには遺体の収容と残骸の回収、そして墜落原因の究明が主な関心事となっていた。なぜなら、イタビア航空機は墜落直前まで平穏に飛行しており、管制官とのやりとりなどからも事故の兆候は認められなかったため、直後からテロまたはなんらかの攻撃を受けた可能性が高いと推定されたのである。

 とは言え、イタビア航空機が墜落した海域の水深は3700メートルに達しており、残骸の回収は困難を極めた。そのため、フランス海軍の潜水艦が残骸の回収に協力したものの、これは後に疑惑と不信を招くこととなった。また、遺体の捜索、収容にも多くの時間と労力を費やしたが、海流の関係からすべてを回収、特定するには至らなかったとされる。そして、この点もまた、後に疑惑と不信を招くのである。

 そして調査開始早々、恐ろしくかつ衝撃的な情報がもたらされた。地上の航空管制レーダには、イタビア航空機へ高速で接近する謎の飛行物体が映しだされており、空中で両者が重なった直後、イタビア機は消息を絶っていたのである。

 地上の管制レーダがとらえた謎の機影とは、いったいなんだったのか?

 当時、イタビア機の付近を飛行していた民間航空機は存在せず、また軍事演習も行われていなかったというのが、航空当局とNATO軍司令部の公式見解であった。そのため、超自然現象研究家などを中心にイタビア航空870便はUFO、それも宇宙から飛来した未確認飛行物体との衝突、あるいは攻撃によって撃墜されたと主張する者まで現れた。

 彼らが根拠のひとつとしたのは、乗客の一部が機外に投げ出されていたことである。つまり、宇宙人が乗客を誘拐しようと試みた際、機体の外へこぼれ落ちたというのだ。しかし、それは機体内でなにかが爆発していたことをも、同時に示唆していたのである。
(続く)

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