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金本監督が本当に頼りにしているのは… 「ベテランは世代交代の潤滑油」(2)

 1月22日、西宮市内の虎風荘で、一、二軍首脳陣を一堂に集めたスタッフ会議が開かれた。話し合われたのは、キャンプの一、二軍の組分けである。
 注目すべきポイントはいくつかある。
 新人選手で一軍帯同が決まったのは、2位の坂本誠志郎(明大=22)だけ。1位・高山俊外野手(明大=22)は右手有鉤骨の修復手術のリハビリ中であり、大事を取ることになった。また、将来の大砲候補として期待される横田慎太郎(24)も一軍スタートが決まった。
 金本知憲監督(47)は報道陣の「一年を通して使っていくのか」の問いに、
 「使ってみたいというレベルになるかどうかは彼次第」
 と返している。
 チーム関係者の一人がこう続ける。
 「金本監督の就任以来、生え抜きの大砲育成への期待が高まっています。監督もそういう主旨の発言をしましたが、年齢、実績に関係なく、各々のポジションでレギュラーを掴んだ選手で開幕オーダーを組むつもり。小技を使う選手がレギュラーを掴めば、機動力、チーム打撃重視の打線を作り、大砲タイプが揃えばそういう打線になるでしょう」

 新生タイガースのスタメンは、まさにキャンプ、オープン戦次第というわけだ。
 「鳥谷、ゴメス、福留は昨年の球団納会で名前を出しており、この3人はレギュラー確定。やってもらわなければ困ります」(在阪記者)
 金本監督が名前を挙げたベテラン投手がいる。その投手の使い方も変わってくるかもしれない。
 新クローザー候補、マルコス・マテオ(31)の入団が正式発表された1月7日、金本監督は“意味シンなコメント”を出していた。
 「できれば(マテオに)クローザーをやってほしいけど、福原のほうが安定感があるのなら…」

 普通に考えれば、クローザーはマテオか、もう一人の新加入助っ人のラファエル・ドリス(27)だろう。一軍投手を預かる香田勲男コーチ(50)は4季ぶりに古巣復帰した藤川球児(35)も「候補の一人」と話していた。福原忍(39)は2年連続で『最優秀中継ぎ投手』のタイトルを獲得している。2011年シーズン以降、セットアッパーとして存在感を見せてきたが、来年40歳になるベテランにクローザーを託すのは『世代交代』に逆行する。しかし、
 「金本監督は福原を投手陣のキャプテンに指名したように、かなりの信頼を寄せています」(前出・関係者)
 福原は良い意味で投手陣全体に“睨み”が利く。エース・藤浪晋太郎(21)が勝ち星に恵まれなかった昨季序盤、
 「もうちょっと胸を張って投げたほうが」
 と、アドバイスを送っている。

 リリーバーは試合中、ブルペンで待機する。試合の流れを見て肩を作るのだが、“コーチ目線”でブルペンのモニターテレビを見ていたわけだ。このアドバイスが投球フォームをマイナーチェンジさせ、シックリ行っていなかった藤浪を立ち直らせるきっかけとなった。
 「昨季3勝10敗だった岩崎(優=24)にも、『試合終盤でスタミナが切れるのなら、投げ込み練習の途中にランニングを取り入れてみたら?』とアドバイスしていました。福原より1歳年下の安藤優也も若い先発候補に色々とアドバイスをしています」(前出・同)

 シーズンを通してクローザーができるのか、年齢的な不安は残る。しかし、チームでもっとも信頼されている投手に重要どころを託すのは間違っていない。むしろ、結束力は高まるのかもしれない。
 投手出身のプロ野球解説者にセットアッパーとクローザーの違いについて聞いてみた。
 「セットアッパーはチームの勝敗に関係なく、ほぼ毎試合、肩を作らなければなりません。でも、クローザーは勝ち試合だけ肩を作ればいい。セットアッパーのほうが肉体的負担は大きいですよ」
 一年でも長く現役を続けさせてやりたいと思うのなら、クローザー福原も悪くない。「マテオのコントロールに不安アリ」とこぼす関係者もいた。メッセンジャーのリリーフ再転向を推す阪神OBもいたが、そうなると、タダでさえ頭数の足らないローテーション投手が少なくなってしまう。安藤、FA加入の高橋聡文(32)、マテオと繋ぎ、それで逃げ切れなかったときは福原を投入する…。そんな継投策も考えられる。金本監督のベテラン福原の使い方にも注目したい。

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