「レンジャーズに在籍した日本人プレーヤーはダルビッシュが初めてではありませんよ」
日本からの特派員も「自分の知りうる限りでは、そういった精神的苦痛は感じたことはない」と話していた。しかし、ダルビッシュというビッグネームが“南部入り”することで、改めてそのお土地柄が日本で紹介されることになりそうである。
2009年キャンプ前、レンジャーズに関する衝撃的なニュースが報じられた。
<ハミルトンは飲んだくれて、コカインを売っているところを教えてくれと聞いていた>
ジョシュ・ハミルトン外野手は2010年ア・リーグMVPにも輝いたスーパースターである。
だが、アルコールと薬物の両方の中毒者だったため、『麻薬中毒者更生施設』への入院歴もある。施設のお世話になったのは、8回…。「立ち直ったはずなのに、また…」という過ちを繰り返したものの、今は立派に立ち直っている。しかし、<ナイトクラブで飲んだくれていた>という報道は、悪意に満ちた。上半身裸のハミルトンが数人の女性と戯れる写真も掲載されていたが、それは数年前のものだった。悪意があるとしか思えないが…。
「ハミルトンが今もドラッグをやっているかって? 『やっていない』と断言できます。何故なら、MLBは薬物に関する内偵調査を続けており、疑わしいとの報告があれば、その選手を抜き打ちで検査します。ハミルトンがその標的にされていないのが何よりの証拠です」(前出・同)
だが、レンジャーズはドラッグに関する悩みも抱えているらしい。2010年開幕直前、ロン・ワシントン監督にスキャンダルが発覚。09年にコカインを使用したのだ。同監督は2年連続でワールドシリーズにチームを進出させたように、名将である。その名将のスキャンダルは全米で報じられ、目に涙を浮かべながらカメラの前で謝罪したという。
2010年10月28日のワールドシリーズ第1戦、「外野席方向からマリファナの匂いが漂ってきた」とされ、警察官が駆けつけている(アウェイ)。それ以上には発展せず、チームとは無関係なハプニングではあったが、『ストレートエッジ』(ドラッグ、アルコール、フリーセックスとは無関係な生き方)で知られるエースのC.J.ウィルソンが慰留交渉を受け付けようとしなかったのは、こうしたチーム内情も影響していたのだろうか。
レンジャーズには建山を始め、上原浩治や元広島のコルビー・ルイスもいるので、馴染みやすいはず。だが、松坂大輔が負ける度にコテンパンに叩かれるのは『6年6000万ドル』の大型契約を交わしたからで、ダルビッシュも好奇の目にさらされるのは必至だ。いずれにせよ、日本球界の先輩たちに守られ、好スタートが切れること祈りたい。(スポーツライター・飯山満)